果敢に死に往くちびマリオ 誰もがニフラムをうたう世界で
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「私」から「君」へと主語が移りゆく 愛がほんのりわかり始める
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ヒトの手の熱でも火傷する金魚 私もそちらに入れておくれよ
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チューハイで口からこぼれた告白は届いているのか 丸つけは明日あす
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蜂蜜が染み込む月のパンケーキ 靄を吸い込み明日は長靴
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可愛い嘘を愛しながら少しずつ傷つくような来世の約束
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やり直し軽々しくは言い出せぬ嫌われるって惨めなことね
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空の先小さな惑星ほしの王子さま 飛行機乗りの見た白昼夢
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夢で終わるには寡聞にメロウなひびき 花束はあなたがほほえむためにある
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ネオン眩し カカオ多めチョコレートのような歌が大好きだった
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寿ぎの空はたかく あめふりをものともせずにきみはかがやく
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こころとは歌声である ほんとうの愛とか恋をそらんじている
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人過ぎて じょうも生らぬや 種子たね無しの 心じょう ときじ常しえ
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品川は夏だったのだ たしかな日 こころの発露に歌声がある
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文字を書く 機会がうんと ってきて 自分の名前 すらひさしぶり
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忘れ物取りに来るかなドア前にさり気なく置く片方のスリッパ
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深夜二時 左手首の傷跡に 心の傷も消してと願う
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泥だらけ 玄関の君 身構えて 父の笑み見て 少し微笑む
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駅前の行き交う人はセピア色遠方からの友を待つ暮れ
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一粒の キャラメルの為に 家事手伝い 危なっかしい足取りの三歳
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試験前 空調の音を聞き乍ら 瞼の落つるを止められぬ我
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出来ないね 「無かったことに」 無理だよね だってあるもん 好き、あるもん
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好きだとか言わなくたって分かり合う この歳なりの恋愛がある
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あと一歩 踏み出す勇気をくれるのは 貴方を想う私の心
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愛憎の坩堝るつぼの中で溶けて恋 歓び 嘆き 残ればまた愛
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ふと君が くれた言葉を思い出す 「君に笑顔でいてほしいから」
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塾帰り 夜風に揺れて 木々の葉が 囁く歌は 永遠とわに変わらず
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ゾッとしてみたいなんてわたしを見てから同じことが言えるかしら
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明日土曜10年ぶりに友と逢う きっと話題は介護や終活
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水面にナルキッソスのくびは落ち終にひとつのすがたになった
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