憂なく待機していても急に来る ブーツ、ジャケット、タイツが主役
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秋竜胆むらさきそみて衣手になだれうつ信仰篤き隣人とわかれ
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基督に酢は澄みかへり受難曲愁嘆場より青年離れ
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隣人は敵ほろぼせるまで互みにも解釈違ひの黙示録誦す
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はるかなる他者のうちにて戸を叩く「われを識るものここにもおらず」。
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戦争に秋深まりぬ咲き及ぶ石蕗の先しがみ付く蟷螂
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たがための瞋りならむか葉鶏頭襤褸にて立ち枯れぬガザ報復
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修辞さへ前衛さへなき簡単で啖呵をきつてくれるな餓鬼よ
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考えるさてどんな服着てたかと十一月の陽気と言われ
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殺せども罪にはならず生欠伸 切って褒めらる庭の生け垣
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丘で見る真っ赤な太陽海に入るジュンと音するよとそばの母
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あしたには緑肥にならんひまわりの鮮やかな黃の今朝は哀しく
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トレンチに穴の現る丘の上に いにしえ人の猪のわな
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抗ってみせるよこんな結末でピリオドなんか打たせやしないと
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稲刈られ四方に散りしいなごたち今夜のすみかは如何にとやせん
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兎つく月のお餅はペッタンコ幼い頃のご馳走の音
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秋彼岸今日も稲刈り腰伸ばし小昼こびるのお萩はくろ で頂く
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レンジ開け ふわっと香る紅茶ケーキ 朝からガッツリいきたくなるね
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常日頃肩より上に挙げぬ腕 挙げて回して気分も上がる
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もう少し厚手のふとんがよかったと寝床で悶々深夜2時半
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分かり良い包括支援の体操に  顔の皺のび命も伸びる
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住めば都 それはそうかもしれないが 故郷ふるさとのまちは 我には楽園
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二度寝する 毛布の手触り 思い出し 肌引き寄せる 初秋の朝
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どうでも良いことが増えるのを止められない明日の休みを検討している
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朝起きて 氷を入れぬ 珈琲の 温もりの中 秋を感じる
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「覚醒剤やめますか人をやめますか」揺らぐ頻度が高まってくる
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「書く」を「描く」「言う」を「言ふ」とすることでしか何かを表現できないお前
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我が生まれ柳条湖事件の十日あと いくさは勝った勝ったで十五年
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寒いのか 十八度でも 冷えた外 酷暑慣れると 秋でも寒し
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変わりゆく季節と時代とこの街と 今日も晴れたり曇ったり
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