あれっきりLINEは既読にならない 波打ち際にボタンがひとつ
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チビ猫は おといれの おすなお砂 かけるのが とってもへたっぴ ちがうとこカキカキ
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桃色の スニーカーを買う 母の目は 少女のようで 愛おしくなる
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飲み込んだ長いしっぽの先端で目が合う私の知らない私
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半割れのシーメノウひとつ透かし見てbetter halfはさて何処にあらん
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攪拌し、掬って、濾して、削ぎ落とし、祈りが残る、元気でいてね
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腹すいた母恋しやと泣く赤子 親も名も無く有るは障がい/とある男性②
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終戦の吉祥寺駅 路上には泣き声あげる赤子がひとり/とある男性①
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ねこ母は アレできぬよねと 小さき手 じつと眺める ドライヤー・2個持ちダブル
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あの女性ひとがいいなといつも 思っても 指名はできぬ美容院なり
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両足が直立したがっているのカプセルホテルで目覚めるたび
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雨降らず二十日も続けて雨降らず散歩をさぼる口実もなく
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憧れた若き頃の沢田研二「ジュリー」はまこと美しかった
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唐揚げと天ぷら蕎麦とミニカレー食べ納めする大学病院
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唐突に補強のためとレーザーを打つて左目卒業となり
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腕組んで今年一年振り返るいろいろあつて足元の冷え
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幼子の泣き声こそはかなしくて締め付けられる師走のロビー
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待ち人の間を抜ける看護師のポニーテールはふわりと揺れて
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下腹に力を込めて見開いてまばたきをせずこれが最後と
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この店は学生時代好きだつた人と来た店夕暮れの窓
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日が暮れて明かりが灯るかまくらにぬくぬくいと頬あかい子ら/雪②
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庭雪に幼子たちは熱くなり白へ飛び込むパジャマのままで/雪①
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果てのない湖面を越えた冬の風コートの裾を巻き上げ走る
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雪遊び手足の凍る帰り道母待つ家のありし日のこと
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本当のクリスマスって静かなの 園児の劇降誕劇に心温もり
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鼻につく おまえのことも うたにする 三十一文字ぶん 距離をとる
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「次の授業聖書だってよ」「え〜寝そう」プロテスタント高校の日々
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冬は好き冬服ぜんぶ可愛いしつけすぎチークも許されるしね
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「ここめっちゃカレーの匂い」「えっマジやん」犯人は私カレーパンのせい
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アドヴェント蝋燭二つついたまま大礼拝堂ひとけもなくて
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