知り合いに バレた気まずさ押し付けて  燃え滓  灰皿  無様に笑う
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どうせなら恋愛くらいしておけば時戻れども青に縁なし
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煙と共に 見上げた満月の向きさえ わからないまま 管を巻いてる
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終電近く、まだ混んでるが、飲みつかれて帰路につく
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蝉の声を聞くたびに架空の九十九里浜をよぎるよしこさん
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みほとけの てのひらはイヤと なきだせど つながれている クモの糸にて
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白髪か薄髪なのかの曖昧な分け目をつける朝 秋すすむ
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クールバブそろそろさよならしたいかな 今年の夏バテ もうおわりたい>こちらも29
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訃報聞き思い出すのはあの映画 お茶目で可愛い落武者の幽霊
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巨星墜つ 西田翁にしやん往きし その晩に 置き土産なる 秋満月あきみつき照り 
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今はもういつもの日常取り戻す きっと貴方もそうしているね
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ドングリを 抱えて歩いたあの秋よ 六年生はまるで大人で
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波の音 黄金色に 縁取られた あなたの鼻梁に 砂と消えたい
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風呂が沸く時間がだんだん長くなる秋が本当に深まってるのか
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本棚にまどろみと在る本たちをそっと目覚めに誘う指先
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「暑いな」と 日傘を握る 手をひいた 二人の肩と 八月の熱
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ふみしめた冷たい土が呼んでいる わたしはいつかあの中にゆく
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いつも飲む豆が一割引だったソフトな苦みのマンデリン也
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行きつけの銭湯支払い「PayPayで」「ここってID決済いけます?」
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水切りカゴ 並ぶ食器に ついた泡 きみの初めての皿洗い
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「脱官僚」かつては皆が口にせど 最近誰も言わなくなりて(官僚の勝ち)
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思わずに「うわー」と叫んだ引き出しに Gの木乃伊が仰向けにをり(澄さん返歌)
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人はみな消せない過去と後悔をたずさえながら明日へと向かう
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深漬けとほどよい漬かりの糠胡瓜 炊きたてご飯のおかずに頬張る
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思わずに「うわー」と叫んだ 箱の中シダに包まれ松茸あらわる
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常日頃背伸びをしてた君は今子供を前に膝を曲げてる
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ブランコをこぐ子砂場で遊ぶ子もきっと全員令和の生まれ
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過去二度の政権交代支持したが 実務能力ないのに呆れ
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梨の実も葡萄の葉っぱもさらさらと私がいなくなってもきっと
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ふる雪も伊吹おろしも好きでした 冬にとむらい重ねるまでは
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