運動会いも若きも知っている まずは皆で「ラジオ体操第一」
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ちょっとずつ遠ざかってく月みたいだった君と私の恋は
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空腹を飴で誤魔化すような恋わかっていても貴方が好きだ
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あなたの綺麗な肋骨が隠してた心臓もやっぱり綺麗
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虫喰ひの葉を透かし見る我の目に 雲間から差すひかり眩しき
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いつの間に? 日に日に短くなっていく 日照時間に 急かされ洗濯
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わが猫らの オヤツ時間には帰れぬか ねこ母焦りて 紅茶屋は寄れず
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絶対にいつか絶対行くからなまだ見ぬ猫のいるダチん
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考えてやってはみたが出来ずともへこむことなし次につなげて
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終わらない待ち行列に加えられ死ぬのはいつも他人ばかりで
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強風に枯葉転がる乾いた音、冬が近いと寒いメッセージ
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朝起きて 自分の気持ち 確かめた 「好きじゃないかも」そんな強がり
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いびつ丸 木のオド感じて剪定す おーっと床屋の予約をせねば
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福島に某国客の数多あまた来て海鮮料理に舌鼓したづつみ打ち
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何もかもすべてをいったん忘れ去り 好きなことだけ没頭したい
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英検に受からな過ぎて変えた名は「草むしり検定五級」
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ハイハイじゃそこは絶対通れない 母の後追い椅子に絡まる
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インフレに住宅ローンに教育費 不安押し寄す夜中の一時
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フィナンシェが金塊指すと知ってから五年毎に減るわくわくの価値
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紋黄蝶あわだち草に舞い遊ぶ 秋のおわりを楽しむように
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ひよどりの羽ばたきながら動かざる梢の風は強く吹くらし
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紡がれた言葉を するめの如く噛み 広がる味は 純文学の
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いつからか風のたよりも聞かないが元気だろうか鷹の爪団
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寂しさに耐えきれなくて若者はじゃらじゃらと鍵をぶらさげ歩く
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上るたび別の用事をやっつけて果たさず降りる無為の階段
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林檎食う くしゃりくしゃり 咀嚼の 寂しき生物 われに息づけり
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暖かい麦茶もいいが焙じ茶を買おうと思う薬缶やかんを火にかけ
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初冠雪 そんな時期かと山見上げ 我が子の冬着なきことに気づく
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寝床にて母は布団を引っかぶり タヌ猫、いそいそ入りにゆけり
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秋の朝 ひんやり空気のリビングに ミルクカフェオレのあたたかな湯気
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