母亡くし悲しみ暮れる友のいて 連れ出し 蛍 見に行く夕べ
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笹舟に乗せて流した思い出は 今頃銀河 静かに進む
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通勤は極彩色のラビリンス 家から出られません、恐ろしくて
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神様を信じたくなくてごめんなさい 朝陽は赦してくれないみたい
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胸張ってあなたの横に立つためにここまで来れた いっぱい褒めて
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キモいって言える境遇に生まれて良かったね君に生まれたかった
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恐れてた昼休みが来て少年はあてどなく徘徊 学校の妖怪
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短歌にまで勝負の世界があるらしい ハイハイお呼びでないようですね
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こんな真夜中に自分の幸運を祝う ピッチが狂うサイレン
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打ち消し合うように死んでゆくね最初はみんな宝石だったのに
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砂粒みたいにすり減るいのち どうせ消えるなら星にしてほしい
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夏至すぎて気づけばすでに短パンとTシャツ姿、猛暑になりさう
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亡家族かぞく居た土間と縁側在りし家夢でもひととき戻りてみたし
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明け方に息子の部屋の灯り見て入りたいけどそっと立ち去る
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醜くて怠惰で馬鹿なこの体 手放し夢でランデヴー
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わからない 答え求めて 先生に キーワードで 検索スマホ
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飲み込んだ想いが弾けてしまうから触らないで優しくしないで
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新しき投稿できる子の刻を待ちつ間に拙さ哂う
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万引きの 爺の身の上 訊ねみる あゝ無常なり サバ缶奢る
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サロンパス背に手が届かずもどかしい誰か生み出せ令和の特許
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八代亜紀聞きつつ奔る トラックは昭和むかしの記憶辿る高速
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少しだけそのはずだった深夜食ヘルスメーター無念の極み/ちょっと借用
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春に仕舞い損ねた炬燵居ていつ片付けるのか面倒になる
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やっとこさ覚えたスマホの使い方iPhoneアイフォンにして全部おじゃん
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傘差さずバス停に立つあのむすめ聴くイヤホンは中島みゆき
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初恋は甘酸っぱいと云うけれど我が身かえつて苦きしか無く
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母宛に舐めた切手の味苦し十三年の空白迷う
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冷えていく 君の連絡 くたびれた クーラーつけた 部屋で感じる
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信頼は崩れるものだ人間は嘘も言えるし罪も犯せる
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千里眼及び魔法の水晶を21世紀こんせいきではスマホと呼びます
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