夏草の むせるかおりに なつかしむ 大の字で寝た 幼きあの頃
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梅雨入りてはげしく降る夜吾が家にて見つめゐるのは母のふみなり
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思い付き 気づけば其の画は 糸となる 一目見たくも 既にほぐれし
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憂鬱と足首を結び肩を組み 二人三脚 夜の果てまで
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水溜まり避けて歩く度 思い出す 昔は靴ごと入水したのに
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予定なく ボロなジャージにヒゲ剃らず スーパーで同僚に会っちゃう日曜日
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土砂降りの雨がそこらの雑草を片っ端からスズランにする
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鉄骨で囲われたゴミステーションと僕の家の外れた網戸
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思春期を超えて1人で生きてきた勘違いばかりをして
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歌わない目覚まし時計 睡眠よ毛布とともにあらんことを。
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ぬばたまの[枕詞] 夜にりしく ひさかたの[枕詞] 雨はザザり 心ズブ
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垂乳根も愛しと  陰毛の白髪 数えて笑う旅の宿
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凜とした カラーの花の 立ち姿 腰痛持ちの 我も見習う…痛っ!
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譲られしアナベルが雨にうなだれる友の忌日の七夕近し
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この世をば 変えてしまえば 巻き戻し 平和で安泰な 平安のよに
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梅雨入りで肌にまとわりつく湿気足取りさえも重くさせる
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新人が昔の演歌懸命に歌うも元祖超えるはかた
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生まれたてカタツムリ這うちまちまと潤いの跡一本残し
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祖父愛す碓氷峠のめがね橋色々あつたキムタク眺め
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風抜けて 強ばる心 ほぐれてく 人の言葉の染みる夕暮れ
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今日こそは やるぞするぞと 意気込んだ 気付けば下る 夜の帳に
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さらさらと星が流れる天空の  旅を終えるは にしふじわら駅
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雨に立つポプラになった日に僕の病室はまた静かになった
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明日はまた真夏日もしくは猛暑日の予報は聞かなかったことにしたい
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汗流し夫の揚げる餅菓子をUtakata 開き背後からつまむ
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結婚記念日きねんびに何かをねだることも無く 夜はUber Eatsウーバーそれで十分
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目に入る手頃な料理みな肴宅飲みこれはいい時間なり
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梅雨らしい雨が嬉しい昨日今日 レインシューズを新調したので
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ジーニアス天才的な言い回し歌人が描く幻想世界
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角笛を吹き鳴らしたら感動の虹の橋かけソールオリエンス
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