奥能登の谷間に小い さき五輪塔 苔むし並ぶ平氏代々
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いくさとは勝ちも負けるもうら悲し蛍となりて闇を彷徨さまよ
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ひっそりと墓を守りて八百年 時忠卿 子孫の 供花の白菊
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自在鉤座敷に下がる鯉の紅 重ねて深し輪島塗りの技
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鬼気迫る御陣乗太鼓の鬼どもと舞台に並べば野分の迫る
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夢を見た 花の生活青春よ 起きれば広がる大砂漠
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バイト先 送る連絡 サボタージュ 何故かあふれる 泡沫の愚痴
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なんか良し通る大人に会釈され会釈で返す着ぐるみの彼
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赦せないひとをだんだんミュートしていないようにしてゆるせない
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故郷の雪の便りを聞きながら都会の底に埋もれていく
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棚雲に いちめんの茜 色づきて 人の世の夕焼け 美しきこと今更に
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プチ旅行終わって おしゃれ着あらってる その次、コートのクリーニングだ>まだなんだ
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その年の流行りの歌と懐メロのBGMと老若男女
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涼しさに ねこたち寄り添い毛づくろい ねこ用まくらは ふたりでつかうよ
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親も子も同級生になりにけり駆け足でする思い出話
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かじかんだ指でチャックを閉める 人間の着ぐるみ被る月曜
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ストレスで痩せていたのは今や過去 ストレス溜まり太るばかりよ
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くにの 秋はけだし寂しからむ 千重ちへにしきのなきと思へば
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睡眠を 急な胃痛に 阻害され たったの2時間 夢を見ただけ
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ゆふづく日 さして朽葉くちばのふりうづむ 山にもおなじ秋はにけり
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きむたくを長介のように描く楽しみ我らは知れり 似顔絵教室
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まいにちが猛スピードで過ぎるけど あの日にこころ置き去りのまま
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目が合った 星も私を見つめてた ちょうちょはいまだ捕まえられぬ
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この呪詛も このドロドロも この傷も 「愛」でなければ なんだというのだ
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「愛」朝起きて 隣の裸の 眠り姫 風邪ひかぬよう 毛布でくるむ
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名のごとく あの猛暑なつ超えても咲き続く 永年勤続賞 千日紅
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星屑も 金木犀も あの日々も 寒さと共に 夜凪へ溶ける
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雪が散るスノードームを切り取って眠りの中で百ループ見る
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怒りたくないのだけれど度が過ぎてシラケついでに怒鳴ってみたよ
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まどろみの 夢見の狭間に カーテンが 瞬きをして 朝日が漏れる
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