早咲きの その唇の 肉の色 私の穴にも ついただろうか
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こんな秋のちょうどいい日に死ねたなら金木犀と、ごめん、冗談
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茫洋とした不安にくるまれふんわりと夢も見ぬ夜であってほしい
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痛い痛い 頭が痛い 目は冴えて 死ぬか眠るか絶望か
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蟻地獄 君が蟻なら 花びらを 椿の花を 携たずさえてくれ
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あなたへの愛に溢れた今週も深夜の駅はやっぱ哀しい
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秋うらら同期集いし日光へ五十余年の往復切符
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老い花と言われる年増五十代「もう恋なんてしない」と掲げる
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黄疸の眼球一個捌かれて皿に仰向くピエタが許にて
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老い花の恋ってとても見苦しい。そんな気持ちで生きて来たから
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新約物語に十二匹の蟾蜍ありぬを完膚無きまで叩き潰しぬ
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新しい恋をしましょう。別れなど引きずらないで生きられる技
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二日間洗わなかった髪ですが思ったよりは悪くないかな
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別れても好きな人って別れたら好きだったんだ。今さらだよね。
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1から2、少し成績上がりますシニアグラスを選ぶ百均
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オリオンの想いをのせた流れ星 消えずにきみへ届きますよう
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何となくフェイドアウトの時期を知る終われば始まることなど知らぬが
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雲ひとつ 無き青空に胸踊る 美しき季節とき秋の訪れ
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寒い夜一人啜ったカップ麺だけが泣いてもいいよと呟く
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複雑なリズムを刻んで話す君のビートに乗って踊る言の葉
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耳元で「秋は死んだ! 死んだのだ!」色なき風が北風に消え
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明日来たるしあわせにすら怯えつつ爪の先まで毛布で覆う
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いつも虚無で寂しい空の心の臓を満たすための「三十一音」
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キャンプの日うまいと君等が言うたびに大人が食べるハラミは減って
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振り向いた君に好きって言えたから心のすべてひかりになった
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一杯がファーストロット埋め尽くし贅をきわめた給餌のはじまり
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携帯で写真を撮るのはその人が好きだからだと思ってたのに
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流れ弾くらって流す血よりも赤いその瞳に映る太陽
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フロイトもユングもアドラーも探せない 私のなかのブラックダリア
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眩しくて目覚める夢にいた君は何も知らない顔をしていた
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