猫になり自由気儘に振舞って愛する人を困らせてみたい
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へこみまで君だったのだ今はもう綺麗に整えられてるソファ
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2000年11月に駅前で待っていた君の下向きの笑顔
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タイガース 強きを称え 明くる日は 感謝セールに 臨む我が身
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夜九時の オフィス見上げ 照る窓に 残業あるのか 霜月の夜に
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大歓喜の日本一から一夜明け 空からも祝いのビールかけ
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声援でビリビリ揺れる家、我らと歴史を揺らした選手たち
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星月夜きみの夢へと訪れていつまでもただ手をふってたい
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君はもう覚えていない振りかけた手の行き先としてある前髪
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キーボード、マウスにスマホ一斉いっせいに充電切れて からっぽの朝
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あの斑模様はチビの毛の色と尻と尻尾が消えてく障子
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ともだちは鏡の中に住んでいる 逆から読むとわたしの名前
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帰ったら二度とはここに来れないよ 「うん」と迷わず笑う羨望
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とこしえに 戻れぬことは 知らねども なおも流るる 水面のかえで
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秋風に たなびき落ちる もみじの葉 ゆきつく先は 山女の寝どこ
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感傷にふけるわけでもないけれどわたしは過古をアカシアと呼ぶ
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炬燵布団・ちゃんちゃん焼の出番にて冬が益々近づいて来る
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陽は落ちて地面の下を転がってまた昇るでしょ?わたしもきっと
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秋が宵 あゆ遊びたる せせらぎの 水面映すは 長門の月か
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悲劇の住いし館ベルサイユ暗き過去持ちまばゆく光る
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個体として全うされよ透明なイクラを熱い米つぶに載せ
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時限式で終わりを迎える恋だった 螺旋階段から手を振って
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気になるあの娘を田んぼに植えたんだ それだけだって、あとは知らない
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追われたと思っていたな赤とんぼ五時のチャイムはもう既に夜
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16時闇のベールが包みだす家の灯りが夜へ反射す
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何周も季節巡って会えるようどこまでだって歩いていくよ
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看板に偽りなんてないけれど思ってたのと違う味付け
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駅内に 新設されたロッカーに 名をつけるとしたらジョン・レノン  
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アンチノミー ダブルバインド トレードオフ 二律背反 アンビバレンツ
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ちま猫が ドアから覗くが愛らしく 半分だけしか閉めぬ ねこ母
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