御器噛ごきかぶりわりと典雅な名を持つに 母に刷り込まれ児らも怖がり
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血も吸わぬ毒もないのにあの虫は かくも人から嫌われるのか
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泣き叫び滅茶苦茶にしたこの部屋を片付けるのも私よわたし
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この世界私と二人重なるも間隙ありてなぶくもの無し
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嫌なこと 立て続けにあるこんな日は 早く片付け 早く寝るべし
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十月の半ばの終わりの午後なのに冷房つけてアイス齧ってる
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カウンター席で飲め飲め白ワイン今夜を延ばして引き延ばして
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ようやっと金木犀が香りだしあの日のことをまた思い出す
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ヨーグルトみたくしだいに固まって水切りできたなら、憎しみも
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かろやかに走り抜けたり太陽のコロナのやうに髪なびかせて
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秋桜は夕日を浴びてもたれ合う雪虫飛んでやっときた秋
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長電話す学生時代われの後ろ電話切りなさい父の声がする
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後ろには黄金のすすきがある気配長く伸びてる影を踏みつつ
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暑い中せっかく掘った芋だから美味いと信じてレンチンしている
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弍丁目の虹色カクテル晝休み云はれた「レズ!」と呑みほす ゑぐい
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物忘る父の機嫌がよい電話繰り返話しの声を抱きしめ
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お前とは 今さら他人に なれないし かと言って 恋人にもなれない
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関係を 壊すのなんて 一瞬で だから 友情に 甘んじてる
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松林、あひまに海の見はらされ 閑雅なカフェにしばしやすらふ
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摩耗した時間の数を本棚と肯定していき終いに辿る
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山脈の山陰隠れ輝いた太陽だけがこの地を作る
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それはダメ あれはダメだと 言われても どこ吹く風よ 気楽なもんだ
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馬鹿だとか 阿保だ変だと 言われても 気にするなかれ 喜んでいろ
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なにかしら 自分のことを 否定する 人にあったら 笑ってみよう
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高慢な 人はまわりを 敵にして 挑みあうから 始末が悪い
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憧れを焚べて骨にし穴を掘る 機体が肉に変わったような
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人間の 意見は所詮 好き嫌い 根拠もなくて ただの戯言
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苦手だと 思う人には 懐に 飛び込んでみろ 面白いから
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洟はもう 耳や喉まで 入り込み 寝てる間も マスク欠かせず
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学校の 祭りがありて 忍び込み 先生と言う 声に驚く
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