爪切りは捨て時どうも分からずに親が使った物までも有り
13
赤りんご?青りんごかな?と悩む色 旬はまだ遠き 立冬の朝
7
抜けるほど 青極まる天 玲瓏の はや寒空に 秋くさめひとつ
5
人生にタラもレバーもいらないとタイとカエルを胸中で飼う
8
捨てられし 儚き恋の落とし物 涙滲んだハンカチ拾う  
7
暖かい気分が乗らぬ雪囲いせねばならぬが切羽詰まらぬ
12
チャイム鳴り 授業息抜き自由時間 給食思い頬杖つくのみ  
5
木枯らしに 吹かれて早む雲のみを ほの見ゆ空に映るき影
6
サクサクと音奏でるを土は待つ音楽隊はまだ来ないのか
5
虫の音がまだ聞こえない。宵のなか月も伴奏なく悲しむか
5
けざけざと 雲居くもゐに浮かぶ久方ひさかたを さしあふげれば冬はとなりぬ
4
今日もまた豪邸に住む演歌歌手が庶民の心を歌っているよ
6
この年は当たり年かや柿の実は頂きもので毎日楽しむ
8
浜辺にて振り返り見れば風紋の鱗を乱せし吾の足跡
6
ゆ風の 赤む楓葉かへではひるがへし あかねとまじり秋は暮れゆく
5
立冬と聞けば心が寒くなる 軽いコートで空は秋晴れ
10
どっかりと胡座あぐらをかいて防風ぼうふう掘る夕餉の食卓浜辺の香る
5
望月にもち搗く兎は杵もちて もち 上げ下ろせば草餅のもち
5
距離をとることを許さずいまここにおれを縫い止めるほそい結晶
6
「足りない」と 努力の量を 指摘する "足りない"頭は 貴方についてる
5
白線をまたげなくなるその日まであなたの隣を歩いていたい
6
今日の勉強か、明日の授業か。選べぬまま来る丑三つ刻かな
6
牡蠣缶だ ドンキに売ってる 「ド」の文字の。めちゃうまだから 買うが吉だぜ
6
パズル誌を二冊だけ持つレジ列の同年輩はボケ対策と
14
晩秋にのんびりこおろぎひとり鳴き無事に伴侶を見つけられるか
8
大好きなボロボロの毛布 あなたが来るからあっさり捨てた 人生ってそんなもの
8
明け方の 冷たいキスは マルボロの 煙を残して 出て往くあなた
10
甘怠い 水煙草シーシャの管の 付け根には 蘭国産ネーデルラントの 青いかたまり
5
面接で 落ちたとナイフを 握りしめ 死亡動機は 完璧なのと
12
今日もまた 飛び降りたいと 鳴るLINE 明日は駅の ホームでしょうか
6