いつまでも癒えない傷が気になるの もう戻れないなんて私言えない
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立てぬほど疲れ寝ててもウガニャオと鳴く声聞けば立ってる不思議
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「老いたれば閑古錐かんこすい なる人たらん」願いは虚し「はしさきしゃもじ」
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授業にて 戦国時代歩めども 安土城跡傍観するのみ  
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電池切れ リモコン・スマホに連鎖して 我れ息潜む終の住処に
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渦巻いて落ち葉が踊る倉庫前掃き掃除する時計周りに
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ついて出た「死ぬまでお前を許さない」今日は一旦、一旦寝るが。
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花柄の タオルケットを広げ干せば 黄金虫来てはね休む 秋
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バンザイ寝 夕方のねこは面白い オヤツのあとの 満足寝姿
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冬近しと告ぐ定番のニュース有り 千枚漬けの蕪 敷き詰めらる
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ここにいてそのままでいていいんだよ許されたようなあたたかな場所
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無条件の味方はいつも猫だけの我の人生それもまた佳き
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傷を傷だったと認識するまでの反応速度が鈍った気がする
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本当に大したことじゃないけれど 言ってるそばから泣いているキミ
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温かい子供の肌にいざなわれ 気付くと寝落ち一緒にお昼寝
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ママママと マママママーマ ママママママ 今日も何回呼ばれたかしら
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涙腺は とおの昔に 壊れてて 隠したいのに 気持ちだだ漏れ
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無花果の蔕を剥き遣り置く卓に白釉の皿清浄なりて
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なんにでも 心情投影 する人類 まださくあさがお いのちのかぎり
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青年の瞑る目蓋へ塩粒の置かる寄せかへす血潮聴きゐつ
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橙のダチュラ砂地に吊り下がり砂に呑まるるまでを幾尺 
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血を流し倒れていれば熊だろと思えば意外人やったとか
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曾祖母が夜なべでつくった半纏はんてんつくろいつくろい着続ける母
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へいきんは 七十五歳 三老人 ゆきひらなべで なんでもたりる
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息子から家族旅行の紙写真『お互い元気で!』添え書きにほっこり
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額縁に 収めていつも 眺めたい 忘れたくない あの日の記憶
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花が好き 理由はいろいろ あるけれど 綺麗で可憐で 芯が強くて
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生田川上流に秋を読みただ雨を聴く水に宿れる永久ということ
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物言わず 睨むあの子は 誰よりも 安全守る 誘導員ね
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立冬の 暖かい日に 冬支度 今年の雪に 思いはせれば
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