閑古鳥鳴く店ももう店じまいあの時の味美味しかったな
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小雨降り紫陽花アジサイの花溜まる水流れ落ちては再び流れ
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麗蘭という名を聞いて浮かぶのはかつての彼と胡蝶蘭かな
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釣り堀の入れ食いのウオ釣り上げてタモへと入れる今日は大漁
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イライラと机を叩くボールペン課長の顔に苦虫浮かぶ
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流木の浮かぶ湖面にさざ波が連れて来るのかあの思い出を
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ランドセルカバー黄色の一年生大きさ合うのは数年後かな
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朝露と 落ちて弾ける 濡れ若葉 胸弾む道 世は春心地
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厳しいと言っては愚痴る息子へと部活の辛抱大事と聞かす
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ただ食いと言うのは映画で見ただけで小津や黒澤映したかしら
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まだ未練残して次に行けなくて君への想い重く引きずる
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いのちとはいたはしきものしかすがに人のことには思ひかけない
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虫達よ春の花々咲きだした目立つ黄色でみな待っている
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天に立つメタセコイヤをともにしてヒラヒラ花のこぶしの白き
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昨日さくじつの雨を追ふごと風強し。これを津軽では「雨返しあまがえし」と言ふ
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梅の枝切りて小枝をチップとす夫はゆっくり畑に返す
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月一度 短歌の会で短歌うたを詠む 辛口あるも優さしくもあり 
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緊張を 紛らわすために 筆をとる 震えた線も 良い味かも
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君が写る 写真を一枚 くださいな ほらすぐ雲に 隠れてしまう
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泣きながら互いに手を繋いだ日から朝の占いを信じるのをぼくらはやめた
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〈間奏約50秒〉が惜しいみたいに喋るあなたの手を見つめる
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豆苗の最終形態検索し、豆の苗だとハッと気付いた
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八つ当たり 他の女を濡らしては なみだをそこに 潜り込ませる   
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お彼岸に 両家の墓参ぼさん ハシゴする 義母ははも並びて ありがたきかな
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荒立てる愚かさを知り「真面目過ぎ」を笑い流した うるせえ黙れ
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消え去らぬ嫌悪で血肉が溶けていく まともになる頃白骨死体
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浅はかについ羨んでは撤回すどの世代にも苦労それぞれ
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久しぶり 今年最初の ランニング ちょっとだけでも 足バッキバキ
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ああ、これか。 憎悪がひとを刺すでなく がこの掌を 押し出すんだね
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親も友も知らぬ私の弱さ知るあなた思い出して夫婦となりぬ
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