お土産に持たせた母の常備菜トマト添えられLINE で返る
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夜半には 実家は雷ドカーンで 母とタヌ猫 びっくりソワソワ>あ、無事です
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雨の止み間 あらしの前の静けさや もったいない気もするけどダウン
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桜など散らしてしまえ春嵐 ただ咲くだけで愛されるなど
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おいでませ泣く子も黙る歌舞伎町ここはハトすら人を喰らって
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僕のこと見つめうつむきまた見つめ 少し笑って貴女は告げた
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ゾンビーになった僕らは飽きもせずフードコートに入り浸ってる
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わたくしを例えるならば潤滑油 社会に溶けて消えたいんすよ
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人間が一夜で消えてロボットの防災無線が鳴り響く朝
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できるならロボになりたい精神に脆弱性を抱えたままで
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調律の狂ったピアノで弾く君のドヴォルザークのポルカの調べ
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のんびりとゆっくり行かずに早よ行ってしたの都合なんぞ野分けは構わず /一週間か
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赤本を口実に買うヘルマンの車輪の下で夏は擦り減る
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赤本とアルジャーノンに花束を僕らは学びそして忘れる
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予約など無いものと思え外来のベテラン患者が諭す長椅子
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確認で生年月日を繰り返す「もうすぐですね」と優しきナース /もうすぐ誕生日
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詰め込んで溢れてもなお蓋をして短歌に母の弁当を見る
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起きては寝ねてはおきてを繰り返す生涯のミニチュアがここにある
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嵐去り 余韻纏いて 吹く風は 涼やかで秋 連れてきたよう
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人混みに思わず取りし老妻の 思いの外の柔らかき手
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大人なんだから連絡先くらい聞くのは自由でしょと回答
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木造りの粗末な家で暮らしたい嵐の夜にサンマを焼きたい
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朝早く避難警報発令され いつも通りの通勤通学
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雨降るとつい思い出すあの歌が三十四年も昔で驚く/「雨」
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傘をさし井上陽水『傘がない』雨に唄えば足取りかるく
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長靴を履いたおっさん呑みにゆく土砂降りというほどでなければ
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溜めた愚痴吐き出し爽快も束の間で 言い過ぎ後悔すぐ自己嫌悪
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大雨が 少し途切れた午前中 洗濯物出す  セミも鳴き出す
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信濃へと向かう列車にふらり乗り一人気ままに旅などしたい
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はじまりはいつも雨だと言うならば今日も何処かで恋が始まる /雨の朝
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