心毎一つも言えない今日もまたパラボラアンテナに陽が落ちて
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干しシシャモ尾から腹へと食べてゆき 頭を捨てるなんと残酷(私の食べ方)
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手を繋ぎ三月九日公演のコンサートへ行く結婚記念日
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酔いどれて万年筆を辷らせば へマムシ入道鼻で嗤いて
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ビールだと花粉症には良くないし今しばらくは焼酎をのむ
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スマホには操られぬとリテラシー半信半疑考えが似て
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痛くないふりしてもきっとあの子なら気付くのだろう笑うのだろ
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暮れなずむ空 輝ける明星に 憂ひ忘るる ほんのひととき
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内蔵のひとつも剥がれていないのに透明の血を流している
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厳正な抽選により落選しました 愛は固有名詞でした
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季節外れの雪が良い 人は誰も見ていない気にしてもない
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子を産まぬ私は子であって 連立方程式は解無しと知る 
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不機嫌な母に我が子はありがとう 先払いして予防線張る
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「春だから酒買い来てる」孤独とは自分の声がきこえないこと
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心地よい眠りにいざなう 読み聞かせ 母の優しき声はララバイ
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雛飾り 少し遅れて しまう父 幼き頃の 思い出胸に
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値段など気にせず近いスーパーで買い物済ます頭痛腹痛
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言の葉を喋るだけの機械にされた 様に「ありがとう」を吐く卒業式
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あの人と 歩幅を合わせ 少しだけ 帰る時間を 遅らせてみる
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やさしさでベースとギターが絡みつき微笑むような日曜の朝
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「ありがとう」声をかけられ 赤ちゃんは 未知の世界へ 一歩踏み出す
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「サクラサク」知らせの続く春の日の 朧の空はサヨナラの色
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嫌なこと逃げてばっかりでもわたしこの世に足跡残してみたい
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愛という この感情が 難しい 欲は簡単 阿保でもできる
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働けど 若者たちに 総スカン これが現実 えらい隔たり
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天にまだ 空席一つ あるならば 君が座れよ 僕の代わりに
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愚かでも 小さき花が 咲くように 憐れみの雨 豊かに注げ
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善良な 人が三人 集まれば 穢れたものは 入って行けず
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怖い人 煩い人が 倒れれば 大喜びの ひそひそ話
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年頃の 女子にたまたま 暗い部屋 怖い目をして 怪しまれてる
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