牡丹雪が スマホ画面に 落ちてきて フォント歪ませ 「もう読むな」
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母子ははこして自由の都に移り住み軽い不自由も深く味わう
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もしきみが息苦しいと思うなら周りは海だ 泡よはじけろ
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春がすぎ夏が来たとき思い出したくなる日々をわたしは生きたい
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おい桜、いやならいやと言っていい そっと咲きたいときもあるだろ
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おやすみと言われた方は従わず言った方だけ寝るのなんなの
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予報士の詳しく語る涅槃西風ねはんにしその風に乗り亡兄姉けいしも帰るや
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戦死した大叔父様は苦しかろ 歴史に学ばぬ僕らの所業よ
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情報に中毒状態 意味のない「ららら」の羅列にときめいている
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5秒だけあなたと笑いあいたくて抜け出したんだ 夜のカラオケ
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不機嫌を振り撒く人よその口を 何で塞げば静かになるか?
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調味料売場にあるのと酒売場レモン果汁はどっちが得だろ?
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私には似合わぬリボンのチョコレート、あぁポケットが深くて良かった
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読み終えしなれの長編手のひらにずしりと重き感触残し
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ちま猫ちゃん「べっど」の ほどよきとこで まつ待つ おかあちゃんの ねるばしょ あけて(マダカナー)
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横須賀線スカ線の車窓に梅の咲き誇る、二度と巡らぬ春の額縁
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十五日改正日、カメラ持つ意味ひとつ消え あなたのいない総武快速
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いやだなとその直感は大事にね あなたはあなたを大切にして
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紅白の祝いの梅が咲き残り彼岸此岸の人の行き交う
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春分の日を過ぎてから春めいて鳴いて喜ぶ公園の鳩
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もしそれが本当だったなら春の空へときえて雲と笑うさ
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レコードの 傷で 針先 飛ぶ様に まぶたの奥で よみがえる日々
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丁寧に生きるあなたを見ていると私もすこし優しくなれる
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混み混みのファミレス 配膳ロボットがずっと泣いてて何だか切ない
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また明日 読書以上の 贅沢なし それにつけても 早期復興
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新雪に ムジナの足跡 増えにけり それにつけても 早期復興
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トラックに 積まれし家具の 悲しけれ それにつけても 早期復興
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君 捨てたもうなかれ 泥だらけの写真 それにつけても 早期復興
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真夜中にチャイムが鳴って五限目の終わりに気づくが問いはさらに増えて
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夜はいまだに冷え込んで 温めたミルクで ひと息つく春分
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