影にこそ光って伸びる霜柱泥にまみれて溶け出していく
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川岸の水際光り煌めいて君の横にて水切りをする
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真夏にも聞いたことない勢いで 唸りを上げるエアコンさまよ
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あらまあと祖母が拭いてくれている娘がさっきこぼしたジュース
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泣きながら怒った君の声が今脳裏に浮かんだ鋭い痛み
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ジュラ紀とか白亜紀とかが懐かしい今は代わりのプレゼン資料
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夕方にそろりと出かけるウチの人私の退職祝いにビールか
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粗削り期待されてた初学年今夏はスタンド声を枯らして
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しみったれクラスメートにそう言われ君らお金の大事さ分からん
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しずともたれる、こころとこころ  さけてとけあう、なみだときおく
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趣味時間 増やす方法 見つからず 思いつくのは 睡眠削る
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流れ星 あなたに「好き」と言ってから消えゆく前に祈る100回
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母さんはもう父さんの妻じゃない父さんの愛は家族に無いよ
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人間は文明創ったそのために猿より平和に生きて行けない
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真夜中に漕ぎ出して行こう行き先は 分からないけど遠くが良いね
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人類の終わりに幕引く流星の 燃える尾をただ焼き付けて夜
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好きだった歌手は最近愛だとか言い出してから聞かなくなった
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雪かきの道具は隅に追いやられ関東平野のホームセンター
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そっと、そっと、ささやいて  もっと、そっと、ささやいて  そしてさざめく、あなたのせかい
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故郷を 一人離れて 幾年か 寂しき日々も 宴の肴
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この世には目には見えないものもあるわかった気がする花粉がそうだよ
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人生の 終い方まで 手本する 看取る我らの 最期まで父 
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次の日は休みだからと遅くまで残業する冬の金曜
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ひるからは ベッドでぴったりよりそって 君たち 双子のニャンコのようね
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これ以上 下がらぬ気がする 298ニーキュッパ 春キャベツ そっと明日のメモに
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氷河溶けフィヨルドに注ぐ水の音 どこかで聞いたせつないメロディ
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あれこれと 弟の声 騒がしい 離れて気づく 無いと寂しい
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悲壮感被害者意識に酔いしれて 安全弱者の高み見物
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あの頃は遠くに見えた青い空  今は窓辺に狭く切り取る
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イヤホンの音量上げて誓う朝だれかの言葉に負けないように
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