寝不足で あたまがパッパラパッパー 書類の文字が 踊って見える
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こんなにも 嬉しいことが哀しいよ 人のこころは弱くてもろい
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恥ずかしい失敗をしたそんな日も押し並べて見ればいつもと同じ日
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山を行く アルバムの父 鉈持ちて 山窩さんかのごとく 紅葉の沢に
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放課後に揺り起こすのはカーテンか 私の名前を触った声
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おだやかなただおだやかにおだやかなこうこうや好々爺ならんうたかたUtakataのうた
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三十一文字みそひとうたい尽くせぬ秋の色十七文字もんじ俳人ひとのいて
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大好きな ピザまん買って ほうばって 肉まんだった 返品不可か
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こどもらは うそをついってる  わけでなく こころのくうそう はなしてる、老人も
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人肌が暖かいと感じたら きっとあなたは冷たい人だ
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唐突に冬のお知らせ咳払い 私の体は夏を続ける
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いつだって最初に起きるのはわたし 人間がみんな消えたあとでも
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薬ない 病院いけない 無能無能 今日も眠れず夜が明けてゆく
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黄ばみたる切り抜き帳に開運と幸呼来さつこらの街盛岡を想ふ
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雨あがりの小春日和に惑ひしか雪囲いのなかで蝋梅一輪
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兼好の沓冠くつかむり歌に「よねはなし」「ぜにすこし」とふ頓阿の返し
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「風邪を引く」「コロナに罹る」と言ふなれどいづれも敵はウィルスならむ
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どうしても君に会えない鬱の日は ダリの時計の如く垂れゆく
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「過去に戻れるならいつに戻りたい?」「地獄に戻りたい人いるの?」
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舞台の上で君とワルツを踊ろう 化け物みたいだと笑われても
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今日の日を塗り替えていく微笑みも君にとってはいつもの笑みだ
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使って良かったもののうち 教えたいものも教えたくないものも
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買ったばかりのものがセールに それって見る目あるよね、ある意味
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きいんと冷えた月光の下に 丸くなる君の体温だけがあった
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彫刻みたいな君の背中の凹みで足湯をしたい冬
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不安をね 一つ、一つ、と 積み上げて ハシゴをかけて 星を盗むの
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幸福は現実/期待であり、分子を固定するなら、つまり
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カーテンを引けば見えなくなるものがあるという目の前の現実
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君のこと想って独り泣くために 優しい歌を一首ください
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ロールケーキ「いちご大きい方、あげる」そういう母の気性を継いでる
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