女孫ほど歳の離れた研修医にがん検診の作法を伝授す
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赴任地が 何処であろうと行く云ふ 不安捨て置く覇気の頼もし
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朝迫る 息は白くて 物部川 満ちる海辺が 遠く光って
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がん転移生かされ六年難きにも歌詠み習う陽だまりの道 \ 小倉アナ旅立ちの日に
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誕生日 祝ってくれる 人わずか ありがたきこと 感謝の祈り
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管理する 人に鎖を つけないと 横暴となり 狼となる
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辞めてゆく 人が絶えない 職場には 問題があり 策を講じず
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金欲しさ 生活のため ある程度 我慢はするが 限界があり
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はいはいと 聞いてるうちに 考える こともなくなり 手先となりて
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あれをしろ これはするなと 言われても 限度があると ほんとは思う
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老いぼれた 教員ぐらい 面倒な ものはいないと 今更思う
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正義とか プライドだとか 人知れず 涙を流す ことも知らずに
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狼は 人に噛みつき 恐れられ 犠牲となった 人累々と
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狼と ウサギを同じ 檻に入れ 赤い涙目 泣いているよね
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雪深し 雪かき終えし身体から 汗が噴き出し 立ちのぼる湯気 
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たわわなり、実のりて柿の紅くして 寒き外より、孫帰る頬。
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名月や、庭の小池の、鯉の背を 照らし落葉も、泳ぐ秋の夜。
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土の中 空夢見ては なけずいる ヒトヨノユメに 空知らぬ雨
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真夜中の コインランドリー 一輪の 花さえあれば。明日も仕事だ。
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もう別に、全部どうでもよくなって。朝に蜘蛛つぶし、夜、爪を切る。
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また僕は救われたのか君が書く三十一の言葉によって
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せいしつも きょうぐうさえも ちがいなく おなじうたよむ (as) 心理療法
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ゆたんぽは まえより平ら 発熱も すこしやわらか 時間も保って
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人生も針仕事とは似たりけり一目一目が出来栄えとなる
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さようなら笑顔で手をふる さようならほんとの気持ちは告げないままに
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終電の過ぎし街の片すみを バンドワゴンは走りはじめる
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新梅田地下街の店一人呑む何ともなしの日々も受け止め
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炊きたてのご飯の湯気を浴びること それが一番お肌にいいよ
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そろそろかもうそろそろかと思い込む彼女の告白待って一年
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生け垣に積もる雪にも寒椿花びらがもうほころびたりて
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