僕はもう深海へ帰る 猫の座る落書きだらけの電車に乗って
4
出せと言う入るとも言ういや言わず佇むだけで猫は見もせず
9
奇跡起き もしもう一度会えた時 一番輝く私でいたい
7
もう会えぬあなたの顔を思い出し やはり好きだとそっと呟く
6
幾度も思い出すんだ君の事 もう触れられぬその体温を
7
憂鬱を振り払うため かかとから血が出ても走るしかない僕ら
6
深い夜遠くの車の走る音 年の残りを数えて眠る
10
いい人に一人出逢えば十人がどうでもいい人それでも生きる
16
自転車の荷台の箱が落ちそうだ。走って紐を差し出す店員
13
手助けをどこでするなら報われる終わりにしたいあなたとわたし
6
年齢や 性別、知識 とらわれず 短歌を詠むと 一人の歌人
10
写真見て老けたよねーと声が出る 私も一緒安心したよ
12
アトマイザー忘れて行った残り香は親の知らない娘の香り
14
サバンナを這いずり回る生命の不意に見せし一時のやすらぎ
7
刻まれた目尻のしわは増えたけど 笑顔の君はあの頃のまま
11
いつまでも体調すぐれぬ友の弁汗を拭き拭き止まずに続く
10
かろうじて堪えた涙の奥底に降り積もる燈のなんて微かな
6
エアコンの効いた車内はファーを出す 夏日が続く霜月の朝
6
クリスマス 休み希望を 出す人の 優越感や あれれ私は…?
7
十円玉をいつまでもこころのどこかで探している気がする
7
こんなこと言いたくないよもう嫌だ心と言葉は相性わるい
10
若いねと言われてハイになったけど若い人にはあえて言わない
19
汗にじむ11月の犬散歩君の速足尻尾が笑う
9
美味しいもの さほど値は張らず食べたいの 無理難題の部類だろうか
9
あした来る、あさって来ると思わせて今日のあなたは必ず来ない
10
決まらない なんにもなんにも決まらない お誕生日ディナー 悩ましき限り
7
ポケットを叩けば出てくるようなそんな「好き」なら食べたくないな
6
原付を 原子力付きと いう彼の バイクは今や 星の彼方か
4
ほし堕ちる 天を貫く 楼閣の 空を見上げて 祈るは誰か
8
ラブコール受けて受けられ大歓声 クラブの端から恋擬似体験
4