冬化粧 祖母の墓前であったかいあなたの手を握ることはなかった
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増税問題いつ終わるのか気になるがそれより推しのグッズが気になる
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泣くほどの 辛さあるのに 見せもせず いつものあなたに 替わりに泣く我
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朝焼けの街はきれいでわたしだけきたないような気がして泣いた
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戦禍とは かうゆうものと 言はれても 理不尽理不尽 死にゆく児らよ
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手を離すくらいだったら最初から握らないでよ 伸ばさないでよ
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あたたかなお茶に小さな塩むすびお煎餅つけましょ母命日や
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フリースとダウンコートを準備して つまを宜しくと零下のあした
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六歳児幼稚園で気づいたと初志貫徹の重要性
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軽トラに札束がっぽり積み上げて地球をくまなく嗜みたい
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寒いねと母にラインし 寒いねと こだまのように返事が返る
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福袋 高級品には興味なく 千円以内の髪飾りアクセかスコーン
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明け方に夢で聞いた君の声ラインで返事してしまう朝
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任されて段取り汲んだ仕事なら何時間でも苦痛ではない
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人見知り嫌がっていた君だけど他の誰より笑っていたね
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お汁粉ときな粉納豆辛味餅冷えた身体に染みる豚汁
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寒空に老若男女の笑い声二人羽織で杵振り下ろし
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隣家で五十年物臼と杵竈門蒸し炊き御餅つきの日
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星屑の 流れ落ちゆく 年の瀬に 胸に数える われの残月
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油断した ケンタッキー 予約競争 乗り遅れ 今年のイブも モスチキンかな
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愛の持つ強さ大きさ美しさ無限で君はその愛そのもの
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真夜中の 吹雪とぎれて 雪灯り ダルマのように 膨らむ Wish
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うたよみん 消えて一年耐えられず 今度はここに引っ越しました。
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きみなくていきていけるやしわすのひ うごかぬあわてる伴なる携帯
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休業で部屋の時計を取り外し 自然に返す体のりずむ
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もういない 小さな人を 生むために 車は進む 息子夫婦の
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買ひ出しの妻を気遣ひ荷を背負ひ風よけせむと吹雪のなかを
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車内には七人座れと強制する鉄の棒二本 おまえが邪魔だ
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大丈夫明日になったら死んでいる嘘でも信じて眠るまじない
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無駄に良い大槻ケンヂの歌声に酒場は暫しやすらぎてをり
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