身体があなたとわたしを絶対に隔ててむかいあわせてくれる
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履きたいと言い出す覚悟もない癖にシンデレラとか甘ったれんな
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剥き過ぎたささくれを後目に極彩色のネイルを塗る自己愛
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喚いても泣いても繰り返す季節 形見のコートの丈が足りない
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知らぬ間に辺り一切桃色に霞み崩れるはずだ愉快だ
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青空に紋白蝶が泳ぎだす溶けてなくなり春を予感す
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(もう一度 答えを聞かせてトースター) (無言で白いパンを吐き出す)
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「生きるとはなんだ」 とつぶさに問いかける イチゴジュースとバナナトースト
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「どうかこのリングを君の薬指につけてほしい」 「ふ、それ残像」
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愛してる その一言のためだけに つむがれる歌、4分5秒
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大衆に 喉を裂かれてしまってね エールを送ることすらできない
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この声は何の鳥かとグーグルに尋ねて知ったあの鳴かぬ鳥ホトトギス
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笑うしかないほど解りあえないが人がいるとはそういうことだ
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今もまた 舞う花びらと 戯れて まだ見ぬ桜に 踊るこの胸
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何となく薄目で見てるSNS  様子うかがう遠くの親も
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レンチンを したのを忘れ 厠行き 爆ぜて溢れる ポップコーン
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恋を終え心変わりてパスワードTから始まる新しき人
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温室の外に植物はないので羽根で作られた衣服ばかり
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コート脱ぎ僕ら少年羽化まぢか飛び立つ準備はやる気持ちで
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悲しみの 海をざばざば 駆けてゆく ポニーがすこし 笑うのを見た
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真っ直ぐに私に向かうカモたちがかわいくもあり悲しくもあり
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僕はもう 君の肥料になるぐらい しかできない、さぁ土に還ろう
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「春ですね」「大好きです」が失った行き場としての迷子の子猫
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君のこと抱きしめたくて夢に見る 夢では髪の匂いもわかる
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霧さえも見えていないということを互いに指摘しあって笑う
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泥混ざる雪の香りにむせながら踏まないように小さな土筆
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仇花も 命はありき あめつちの 情けあれよと 祈りしあした
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一平日として終わる誕生日 大人になったな、悪い意味で
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太陽は、天の広さに飽きました。 大洋の向こうに隠れました。
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永久とこしえうしお の先の島の尖塔とう修道士らの祈りが響く
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