世の中でいちばん好きな短歌だが自分のなので「いいね」押せない
7
こんなにも引いては寄せるぼくがまだ波だった頃のはなしをしよう
8
違います、これはパソコンさんのため。強冷房もサーキュレータも
2
今見たわ どうでも良くて既読とかつくとうるさいから寝てました
2
「もういいよ」、そう言って突き放してよ、泣きたい秋が来てしまうから
2
この空があんまり青く染みるので飛び込みたかった冷たい線路
1
炎天下信号機から伸びている影の形に合わせる体
9
この部屋に入りすずしいいや少し暑いやっぱりすずしいエアコン
1
この夏はお金も時間も足らない一発撮りのファーストアルバム
0
数学の先生の語尾をまねした人は今どこで生きているの
2
暑い日を 冷ます夕立 雲の峰 洗われ暮れる 今日という日も
1
膝枕 覗いた君を 引き寄せて キスしたあの日 蝉が照れ鳴き
0
傷ついた昨日を脱いであたらしく強くなれるか蛇だったなら
2
次はないくせに「またね」を二度も言うあなたの爪に咲く曼珠沙華
2
暮れかかりひとけがなくなる教室の僕の席には僕すらいない
10
昼の熱残る二階へあがり来てポケットの中ひやと文庫あり
2
ヒントを求むるは愚行と見做す愚行をばたださんと読む文庫
0
初めてとばかり言うから嘘つきと思われている知らない私
2
懇願に堕ちたい凡俗をふたり外猫みたく心に飼って
0
名付けずにいる限り名を探す道行が続けられる 明日死ぬ
1
あの痛みは幻と知らされたからあなたのためにまた痛む
1
一度投げ捨てた眼鏡を後ろ手に探る肩口 絵描きの男
4
きみんちのシンクと同じ冷たさに凭れ深夜のくわえたばこ
2
詫びること全部嬉しく思ってる 私あなたをかき乱してる
0
いつかは死ぬふたりだから楽しみの数のカウントダウンはじめた
1
並び掛け雲丹とろかした夜明けて向かい合っては啜れぬラーメン
0
言わずには居られぬと顰めた眉で待つひとの元へ夜の列車
1
互いの温めかただけ知らなかった 許し方はこれまで通り
0
ペット不可の部屋でこっそり『音』を飼う 「おはよう」『しゃらり』「おやすみ」『ぱたん』
3
一斉に鳴きだす木々と憩いつつ傾ける缶君への手向け
0