‪好きになりそうだ彼氏を作らなきゃまだ友達でいられるうちに‬
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疑問符は御法度なのですこの「好き」に 飾り付ければ要らない応え
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君の部屋 聞こえる音は布ずれと寝息、クーラー、たまにサイレン
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土曜日の午後に見つかる幸福論 夢のほとりに君がいたこと
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温い風頬を撫で捨て去っていく八月八日の熱を嗤って
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蠟梅の枝は箪笥の奥深くひそかに萎れたるままに春
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交差する電車の向こうに君がいる 等身大の君を直視できるよ
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ふたりでは行けない世界だとしてもふたりじゃなくちゃいけない世界
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この空は誰のものでもないのだよもちろん花も風も心も
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アメジスト輝きてもう期待さえできない悪い夢の終りは
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宙を見詰めしきりに指を折る人は短歌を作る人かもしれない
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白雲しらくも群湧むれわなつ弥熱いやあつ日光ひかり吾家わぎへのベランダを
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木陰から「じゃあな」と言って走り出す男児らの影夏のいろど
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髪留めを 直すしぐさに キュンとして 思わず君を 抱きしめたかった
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「ねえ今日の嘘の深さはどれくらい?」「きみは充分溺れられるよ」
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くつに砂が入ったままで出てきて提出をする退職届
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友達の友達であり友達と言えなくもない 教科書貸して
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朝の五時きみのベッドは海となり寝息ふたりぶん浮かべてゆれる
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かく続く氾濫水害いつまでか ノアの箱舟今さらながら
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パスワード とっさに浮かぶ四桁は君らの生まれ足したものです
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朝が嫌、夜も嫌だし、昼も嫌。なのでおやすみ、冬まで夏眠かみん
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お風呂で寝ちゃってたんだと笑うけど人工呼吸はキスじゃないのよ
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駄々こねりゃ仕方ないなとにやけてる君を好きになってよかった
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海面に浮かび上がった大クラゲ ひかり振りまく月のお出まし
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指先でつまめる程の巻貝を集めて聞くは海原の声
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死にたいと思ったことのないひとが決める僕らのあかるい未来
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「ごめんね」と下げた頭の旋毛つむじから湧いてしまった泣きたい気持ち
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夏の陽にゆるゆる溶けていくのなら君が舐め取るアイスがよかった
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弱い僕 あの痩せた猫が 横たわる いつもの道を 通れないんだ
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明日からは泣かずに生きていけそうだ台風一過のしたたかな青
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