言葉という街の埃に似たものが降り積もりある日私になった
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街灯に照らされ三つに伸びる影 僕の歩調で輪廻転生
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佳き人の 涼やかなるは その心 雨にも負けず 風にも負けず
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菜の花と モンシロチョウの 関係は 君に恋した 僕の献身
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バッドエンドルート五回連続突入記念のシュプレヒコール
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補聴器で互いの波長を感じ取り歩調を合わし行く散歩道
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君逝きて 三度の春を 迎えます 花にも鳥にも 君を探すけど
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よう親友 杏の林に向かう旅一人で向かえ俺を置いてけ
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春の陽はバスの結露を吸い込んで揺れる陽射しと静寂運ぶ
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こころをばなににたとへむひぐらしの声ふるさとの夕暮れの空
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乱れたときだけ生活にリズムがあると思い出す深夜二時半
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森川君が 半分やるって 差し出した マイケーキは クリーム付いてない方 
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鼻の下額ほっぺた生え際の君のニキビは夜の星空
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自らを深掘りし出たメランコリー長所も短所も曖昧なまま
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天井に広がる宇宙に思い馳せ床のチン毛を拾い集める
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天井が高い家から眺めてる雲の動きは遥か彼方に
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飛行機よ墜ちろよ堕ちろ明日からの俺の生活海の藻屑に
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部屋の隅床に座って拾う毛は私みたいにクネクネしてる
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思い出も押し込んでみた段ボール 泣かないで すぐゴミにするから
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どのへんを爪で剥がせばいいのだろう 視界ではない世界が見たい
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マンゴーは紅茶に浸すパソコンの電波が今日も飛んでいるから
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お気に入りの 歌集の頁の 付箋の箇所の 歌を好んだ 過去の自分
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冬過ぎて卯月につくし土つつき春の足取り描く澪標みおつくし
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今日もまた 本の世界へ 旅に出る 「また来たんだね。いらっしゃい。」
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天使の声に 釣られて楽を選んだら 後に居たのは 悪魔でした
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五月雨を集めて早し最上川 そんなに急いでどこへ行くのか
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「〝黒紙〞に選ばれたって」 「気の毒に」 ……御しやすそうと、思われたのね
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杉の木が消えた春って思うほど幸せじゃない沈黙の朝
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肋骨を籠に見立ててカナリヤを飼って愛の唄を歌うひと
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カレーはね、首傾げたら終わりだよ  短く育てて巣立ちを見てて
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