空虚など気付かなかった すれ違いざまにあなたが微笑むまでは
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「ていねいなくらし」の文字が踊る雑誌を横切った深夜のコンビニ
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どちらかというと適合しないほう 社会と呼ばれるこのケースでは
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生きるのに 値しないのではないか 六文銭にも満たぬこの身は
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降る雨に睛をさげし幼な児に、返り咲きしは、まろき踊り子
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お風呂っていつも仄かに死の匂い
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ああ君のパチンコ依存さえ綺麗、顔が好きってそういうことよ
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右肩を君につつかれ温もりはいつまで経っても思い出せそう
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昨日まで君とみた空もう二度と同じ形の雲は流れず
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教室で 君とふたりきり 目が合うの 真っ赤になるのは 夕焼けだから
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居残りで 電気の付かない廊下歩き 一人の怖さを知ったこの時
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反りかえるそばから剥けてゆくような柘榴が口に含まれている
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深淵に灯りを投げて夜に耽るハガキ職人しかいない二時
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紅褪せて葉織脱がせば樹袢無し去り行く君に凩踊る
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君が為 詠まうか歌を 恋の歌 いつか叶うや 信じたまう
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あの人は他人ひとの男であの人も私もただの他人だったね
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頭から落ちていくとき魂は天に向かって飛んでいくんだ
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ものなべてこの涯無きを負ふゆゑに傾ぎて見ゆる青空の下
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菓子パンのように貪る だからかな、いつまでも腹が膨れない恋
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夜更け前 地球のかたち地の球でなかったころの記憶ゆめ見る
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狂池くるいけやデーモン飛び込む鐘の音
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ひかりたつ少女のひげに揺れているミルクの雫ほどの性徴
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これ全部饅頭にしたら何個分?椛の樹見て君は呟く
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生徒会選挙は部活の組織票文化部内閣発足したり
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賞味期限 1日、2日 切れたって 皆んな食べるよね えっ、食べないの!
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吹白し、寒空峠 操輪を握る吾が手も 脂凝りぬる
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見る頭ごとに雪ふる、霜つきの窓にも 朝の影が凝りゆく
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小白鳥来たりて 黒き土を踏む。この麦畑の、新しきかな
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この夜を飾る花火がなくなって推しを燃やして人間にする
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眠れない理由が欲しくて好きだったあの人のこと理由にする夜
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