中村鉛  フォロー 0 フォロワー 10 投稿数 47

コスモスはあす咲くだろう睡眠を譲ってもらいにベランダへ出る 

なにか成し遂げたところで天才という歳は過ぎてよく馴染む靴 

ツユクサを押し花にする図鑑 ほらゴビ砂漠にはこんなのも咲く 

沈む舟から突き落とされた人で水位は上がるばかりであった 

みかんでも剥くなにげなさで息を吸いあなたの娘は結婚しません 

俺のミスじゃないと言うため現れて(*原文ママ)と捨て台詞吐く 

直前にミントの種を飲んでおくことにするから土葬で頼む 

ゆすったらこぼれる気がして慎重に歩く期末考査の朝は 

脳の間隙にざらりと流し込む砂鉄の引力に従ってゆけ 

星を知らぬ我が子のために大田区のスイッチを切る東電職員 

バベルから始まっている創世記巻頭のこれらは絵だろうか 

微と徴を博打で書いている上に小さめにして誤魔化している 

人ごみを縫う少年は飛び石の傘また傘へ風邪をひくなよ 

サブスクの花と新聞とがこぼれ丁寧だったらしき失踪者 

山積みの廃車ひとりで親を待つダイダラボッチの子が多分いた 

ハムスターに脳があればこんなふうと甘栗を指すけれど あるだろ 

わたくしが紙で小指を切ったため全員今日から冬ですごめん 

俺を射る吹き矢もうっかり吸うだろう石鹸水でむせてるつむじ 

郊外のイオンは膨張を続けやがて街ごと呑み込むでしょう 

伏せられた曜変天目のうちで今際に夜空をいただくねずみ 

ほうられた下列の乳歯が過積載となりばらりと落ちる 雹です 

右脚に迷子が絡まり名駅の巨像ははるか頭上をなでる 

Googleはそのうち虹の商標も取るぜ地表じゃ狭くってさ 

くそったれ今に見てろとその熱でハーゲンダッツを食べごろにする 

お手軽な自分の城が欲しいなあリンガーハットの居抜き探すか 

寝たふりでふるえる瞼 苦笑いして助手席の子を抱き上げる 

体裁を捨てると決めたそんな日の練り物だけのコンビニおでん 

右奥の最後の乳歯を抜きたくてスニッカーズで丸む片頬 

持っていきそびれたもなかがひと月の湿気の分だけ棚を圧す秋 

その前に急ぎハーブとスパイスを飲み込むきたる火葬のために