中村鉛  フォロー 0 フォロワー 9 投稿数 44

沈む舟から突き落とされた人で水位は上がるばかりであった 

みかんでも剥くなにげなさで息を吸いあなたの娘は結婚しません 

俺のミスじゃないと言うため現れて(*原文ママ)と捨て台詞吐く 

直前にミントの種を飲んでおくことにするから土葬で頼む 

ゆすったらこぼれる気がして慎重に歩く期末考査の朝は 

脳の間隙にざらりと流し込む砂鉄の引力に従ってゆけ 

星を知らぬ我が子のために大田区のスイッチを切る東電職員 

バベルから始まっている創世記巻頭のこれらは絵だろうか 

微と徴を博打で書いている上に小さめにして誤魔化している 

人ごみを縫う少年は飛び石の傘また傘へ風邪をひくなよ 

サブスクの花と新聞とがこぼれ丁寧だったらしき失踪者 

山積みの廃車ひとりで親を待つダイダラボッチの子が多分いた 

ハムスターに脳があればこんなふうと甘栗を指すけれど あるだろ 

わたくしが紙で小指を切ったため全員今日から冬ですごめん 

俺を射る吹き矢もうっかり吸うだろう石鹸水でむせてるつむじ 

郊外のイオンは膨張を続けやがて街ごと呑み込むでしょう 

伏せられた曜変天目のうちで今際に夜空をいただくねずみ 

ほうられた下列の乳歯が過積載となりばらりと落ちる 雹です 

右脚に迷子が絡まり名駅の巨像ははるか頭上をなでる 

Googleはそのうち虹の商標も取るぜ地表じゃ狭くってさ 

くそったれ今に見てろとその熱でハーゲンダッツを食べごろにする 

お手軽な自分の城が欲しいなあリンガーハットの居抜き探すか 

寝たふりでふるえる瞼 苦笑いして助手席の子を抱き上げる 

体裁を捨てると決めたそんな日の練り物だけのコンビニおでん 

右奥の最後の乳歯を抜きたくてスニッカーズで丸む片頬 

持っていきそびれたもなかがひと月の湿気の分だけ棚を圧す秋 

その前に急ぎハーブとスパイスを飲み込むきたる火葬のために 

ない恋の歌を詠んでは灯籠をさらりと流すみたいな供養 

ペンは剣よりも強しと聞いてから詰替芯はわたしの弾丸  

なんとなくヤクルトを歯で開けてみるアルミの味がしてアンチ・大人