中村鉛  フォロー 0 フォロワー 2 投稿数 34

元気でと交わした握手が痛い瓶の破片を踏みしめ崩す 

お手軽な自分の城が欲しいなあリンガーハットの居抜きポチるか 

心中は広義の溺死くくられたボンベの分だけ加速していく 

コンタクト外したあとに眼鏡を手さぐりするときわたしはひとりだ 

寝たふりでふるえる瞼 苦笑いして助手席の子を抱き上げる 

まばたきのまつ毛の起こす風隣町でぱちんと消えるシヤボン 

体裁を捨てると決めたそんな日の練り物だけのコンビニおでん 

右奥の最後の乳歯を抜きたくてスニッカーズで丸む片頬 

持っていきそびれたもなかがひと月の湿気の分だけ棚を圧す秋 

その前に胃にはハーブとスパイスを飲み込むきたる火葬のために 

ない恋の歌を詠んでは灯籠をさらりと流すみたいな供養 

ペンは剣よりも強しと聞いてから詰替芯はわたしの弾丸  

なんとなくヤクルトを歯で開けてみるアルミの味がしてアンチ・大人 

まともには見れないでいるお冷やとか窓を介した像を見ている 

あの人、と責めた指は丸められ行儀悪いよ、だけを受けとる 

ポリ製の心で熱に弱いけどいくら泣いてもまもなく浮かぶ 

冷房はやめてさデカい大理石据えて時々抱きつかないか 

舶来のタイルに仰向けて眠り幾何学柄の夢を見ている 

文豪の行きつけだけが纏っているカフエエだった時代の残滓 

湯上りは開けた窓を背に座る風をはらめよ闇を吸えよ、髪 

朗読を浴びてインコはただひとり文語を使う風立ちぬ。いざ… 

校則の厳しい彼女たちのロッカー誰かが置いてった除光液 

ソーサーとカップを伏せて組み合はすラスト平安貴族の子らよ 

この次にコップの氷が溶解しかちりというのを春と呼ぼうよ 

ぶちまけたフローリングの白ごまも再来週には芽吹け、と笑う 

決めつけの激しいそういう気性タチだから花占いもツツジをちぎる 

切った指よりも孤独がしみる夜 一人暮らしはまだ五日目で 

ストロベリーシェイクが重くて、舌ばかり順調に大人になっていくね 

切り出せず仕舞った言葉は飲みこんだ飴玉のごとつかえたままで 

Zippoはだめ使い捨てのにしなよオイルが尽きたらやめられるよう