嘘だけを 固めたような人生に 誰も「ダウト」と云ってくれない
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落ち着いて 静かな心守りては おまえに遇って 堕ちるのこわい
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見た目には元気に見えども痛み持つ ある者体にある者心に
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保有米 昨年以上に備蓄すも 米櫃底つく孫の成長 
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喜寿なれど「来年度も…」と契約の更新すませ白衣をはおる
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あまぐもがきっと春を連れてきていつか稲穂がみのる季節に
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恨み消え残る敬い離れては 貴方の御多幸心の底から
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毎日の ように野球の 話題あり あっという間に 今年開幕
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もう父に 届かぬ歌を 詠む夜道 去年の桜は今年もそこに
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手の上で眠る小さな命にも恋の季節も換毛期もあり
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病室に差し込む夕日が壁に映す点滴袋の水っぽい影
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八分咲き 思い立っての 夜桜は 耐えてくれるや この先の雨
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綺麗だねビリジアン色のその瞳すこしの毒も気づかぬあなた
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ビリジアンにじむ絵の具のさみしさに白を重ねる、罪深いわね
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ふくらむちぢむぼくのはいでわずかにくうきがゆらいでしまったきがした
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おひさまがもうすぐめをつむるとしょかんのまどぎわでことばをあむ
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君は霧。皮膚からぼくを包み込み満たしていくね、そっとおやすみ
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眼の中に棲みつく去年の桜とか君の笑顔がぼくの方舟
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走りだすあなたの汗が春を呼ぶ想い描いた未来が今だ
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最近の君のブームはボタンかけ真剣な顔パパにそっくり
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早々とジャノメの蝶の舞いい出て雪の庭には六花ばかりで
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5回分+6回パッドでもだめだったかと貯水池の規模
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焼酎の炭酸割りが美味かった明日呑むのはお湯割りだけれど
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顔も見ず口もきかずに見送ってずっと苦しいずっとさみしい
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眼を閉じて静かな部屋で聴いている 風の唸りは地球の叫び /強風の日に
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傘を縦に持てぬ人とすれ違う 心の中で雨を降らせる
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春の日に 何もない部屋で 座り込む 床の冷たさ 陽のあたたかさ。
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それ「ひっつみ」南部名物今もなお 「ばっけ」味噌添え燗酒あたたま(山羊さんタラコさん)
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買い物中 メモに書くのを忘れてる食材もの思い出し グッジョブわたし
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古書店のすえた匂いの垂れこめて奇術の本を買い求めたり
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