夏かった 手持ち扇風(機) 暖房の サーキュレーター 再利用
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はじめての夢で痛みで宝物でくさびだったあなた、さよなら
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自らの薄っぺらさに気づかない 無形のものになりたかったよ
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化け物にされたわけではない 僕だ僕がなりたくてなっただけだ
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通学路 電車の窓のケンタッキー これからも行かないだろう場所
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コピー機の用紙の温度 暖かいだけで寄り添いはしない温度
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父親に殴られた頬が痛む日も バッハの音はいつもきよらか
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冷える夜 母と飲むお茶 ほっとする やはり私は あなたの娘
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あかね色に夏のぼくらが染まるたび鳴る鐘やがて母の呼ぶ声
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適当に投げてかかった電線を伝った電気が夜に零れる
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音楽よこの内臓ごと犯してよ貴方のいないこの痛みごと
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あなたへの愛をささやく代わりに影を踏むここから動かないで
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けむる街ながめはすれど見えはせぬ貴方の家の建つ場所までは
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「おお、みかん」「おみかん」「みかん」段々と俗に転がってゆく不安感
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不機嫌の空気感染防げれば、笑顔の理由はそこらじゅうに
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未だ知らぬきみの言葉に耳すますひどく澄んでる空が降ってる
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脳せんい ひとときばっと ふえるけど いるもののこし  だんだんきえる (岐路も)
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はるめいた ひざしなんだが ふぇいんとで かんぱひかえる うらはらな人
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運転の荒いバスでも愛しさがどこかにあるので定期券です
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地獄まで見つけにきてよオレンジのワンピース着て立ってるからさ
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いじけてりゃいいじゃん忘れられるのは赦されるのと同義だからさ
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才能も意味も価値もない体でも熱だけあって シーツがぬるくて
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窓際で傾ぎ凭れる円筒の転けぬ際なる技の絶妙
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Cブロックの公園が基地だつた夏いまもジャングルジムのある夏
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電話のない家庭がクラスに二軒あるそんな二軒の初恋だつた
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横浜の夜は愛欲 恋人も濡れる街角桑田の世界
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風寒み開かぬ梅の木の間よりさすがに霞む夕月夜かな
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好き嫌い?分からぬ彼は傷心か 核心避ける保身の乙女あなた
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殴る・蹴る・痣・傷・骨折無いならば安心(でもね心は痛むよ)
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心臓を握りつぶせる握力で私の心をへし折る貴方
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