永遠の 線が一つの 輪となりて この世の命 一点の如し
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地を見れば 金を愛する 亡者たち 天に輝く 星はキリスト
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堕落した 民が殺せし キリストが 悔い改めし 民を赦さん
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堕落した 有様ばかり 見ていても 奇跡は起きず 天を仰げば
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明日は雨 枯れた枝先 よく見れば 薄黄緑の 幼き若葉
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明日は雨 見果てぬ夢も 捨てられて 腐り果てたる 果実のごとく
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空の端を縫い留めている電柱の列を追い越し帰る夕暮れ
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生きて詫びるのではなく死んで逃げる選択の甘さと恐ろしさ
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どれどれとのぞいてみれば隙間からこちら見返す梅花つぼみ
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無いことは知ってはいるがそのような思いあるだけありがたきこと
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そのことは結果的には良かったがそれが何かは言わないでおく
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その鼻にタバコ・バニラを染み付かす タバコなんかで上書きさせない
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ぼくたちは一人で生きてるわけじゃないけど、ひとりで戦うしかない日もある
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ひさびさに 遠くにおでかけ わくわくと 景色ぼやけて うとうとうつつ
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我が家にも春来にけらし南天の鉢の苔にもさくの立つらむ
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綻びはパッチをあてる栓をするそれでも滲み漏れて出てくる
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みささぎのほとりも人はなかりけり花には早きみ吉野の春
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姑がインターネット始めたわSNSに鍵かけなけりゃ
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旅立ちの子の荷造りに口を出す最後まで我くそばばとなる
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スーパーで不意打ち流る涙ありここの唐揚げ子が好きだった
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トーストの焼けた香りも香ばしく 溶けるバターは黄金色して
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休日の朝に味わうコーヒーは 香りも味も 一味違って
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どこまでも行けば行けるがかた雪を朝日に光る今のうちなら
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継母もお母さんとは呼べたのに未だトリートメントと呼べず
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女房の母の名前はキヨちやんで何時でもあははと笑ってをりし
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買い物に出ること多くスーパーのレジに並びて待つにも慣れぬ  
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母の手をぎゅうっと握る幼子の迷いなき目を信頼と呼ぶ
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短歌にはできない気持ちもありますよどこに吐き出したらいいんでしょう
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テレパシー 送ってみたわ 助手席で 帰りたくない 一緒にいたい
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曲がり角 手を振り返す 見送りも まもなく最後 卒業式だ
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