書き順はめちゃくちゃだけど、丁寧に必死に書いて許されてきた
4
モノクロと呼ぶにはエッジが淡すぎる 墓所に佇む雨中の烏
0
イヤホンをふたり真顔で分けあった 黙れロックンロールの心臓
1
もうあたしどうされちゃってもいい件に関する資料をご査収下さい
3
奪われたパンの恨みはあるけれど とんび悠々飛ぶ空が青
0
はやぶさに続け真夏の滑走路 坂の向こうは全開の海
1
告解の冷蔵庫では贖罪の羊が凍る 雨がちらつく
0
二人目の精をぬぐって独り寝の夜をどこかで少女が見てる
1
惑う指が胸のリボンを解いていく ぼくらの羽化を雨だけが知る
1
白番の彫像のごとき長考を肴にギネスも黒と洒落こむ
0
ゆめうつつ 虚飾の図案の蝶を食み蜘蛛は真白の糸を織りぬる
0
学年で声を合わせる恋歌は届かず割れるシャボンの群れか
0
死神はびろうどみたいな手触りで光る眼をした黒猫が良い
1
六月はきらいだ 濁った水槽だ ラブソングすら黴臭いんだ
2
僕のこの ひどい胃痛が止んだとき きっと君への 恋も潰える
0
あのひとを 救うためには この闇に 僕は迷わず 飛び込まなくては
1
足ツボは 一番効いた 足の指 目と鼻疲れ そうかもしれぬ
0
ビキニ美女 踊る夜には 最適だ 癒しの女神 嬉しき保養
0
個人主義を歌っている「類似の」と一絡げにされたアーティスト
0
でもそんな寒くないしとコート置き出てきたもののもう帰りたい
3
ミス日本 自分の地元 代表し ニコリと笑い 天使の眼差し
1
人魚姫でなかったあなたは泡にすらなれなかったのでした おしまい
2
傘のうちに招じ入れたる霧雨に濡れそぼつのあさましき身は
0
絢爛な虚飾に虚実に戯言にまぶしたそれを過去と呼ぶのか
0
肋骨を打鍵し内に仕込まれたメトロノームを加速させてく
1
フラクタルに殖えゆく宇宙に産声を上げよ人の子カオスの末子まつご
1
紫陽花の葉っぱを上から順々に撫で落ちていく雨アルペジオ
2
炭鉱のカナリアみたいな息づかい ヒールの釘をカチカチ鳴かせ
1
道端にヒールの靴底おちている 生き急ぐことへレジスタンスだ
0
干していたシャツから滴る雨粒にこの世の全てを諦めている
1