ご近所にワゴン車で売るクレープを泣いて欲しがる残暑の夕暮れ
0
夏終わり持ち帰ったプチトマト茶色に枯れて気まぐれ息子
0
男より 感情的で 自尊心 高く保てり そは女なり
0
御神幸 神輿に供する手提灯 宰府の秋はいろを深めり
4
子供にはその恐ろし鐘太鼓 どんかん祭の神輿過ぎ行く
3
はらわたが 薄く明かりて 喉奥に競り来る彼岸花
0
ぺこぺこと下の方から音がする ああ、 少しね、 大きめなんだね
0
ながむれば 跳ね返りそうな色をして 塀に並ぶる曼殊沙華咲く
0
男ども 肉に塗れた 獣よ 彼女の前に 平伏すがよい
0
十九の あの子が語る 貞操と 女性の心 気高い教え
0
彼岸花古刹の門も朱く染め 手を合わせるや祖父母犬猫
2
今日は朝起きると窓が開いていて 体がすっかり凍えていました
0
しってるかい この駐車場は昔海だったんだ くじらや亀もいたかもしれない
1
ひと缶で赤く染まった君の頬に 触れずに飲む日のアサヒビール
0
タイムスの黄色いライトが眩しいこの道は 初めて通る僕の帰り道
0
菱形の白線を少しまたいで くるりと回ってよろけ また歩き出す
0
まんなかの横断歩道を横切る夜に 知らず知らずの夜の王様
2
深夜2時 まっすぐ見える日光街道で 2人で歩く暗い窓沿い
0
キッチンにもたれてキミが飲むスープ その器はわたしが洗う
0
自己満足 も一人増えたら 人満足 思考は人と世 そのためじゃろうが
0
エゴの無い 祈りなんて物 糞喰らえ この身 世に振る ながめせしまに
0
車ゆく 道路の水面 雨やまぬ ハイライトよく 行先眩む 
1
人間の形を決めた食べ物は 公然の秘密「知恵の木の実」だ
0
人間はどんな形をしているか? 「俺は偉い!」と思い込んでる
0
ゾウはゾウキリンはキリン 動物は食べ物により形が決まる
0
悪口も 三十一文字におさめれば 「なんてアート」と感心される
0
体にも心にも鎮痛剤をどばどば入れて笑って生きる
2
母子とも同級生に刺激され 再チャレンジの断乳決意
1
速足の三人組は朝の顔 これぞルーティン我もルーティン
0
今生の別れを胸に 幕上がり歌う毅然と喝采浴びて
0