葬送の宴の跡が苗床に 森のいのちの円環の旅
0
ピアニシモの雨音を裂くクラクション 寝覚めた猫が夜に潜る
0
花の紅を落としたふりで滾らせる 割れた柘榴ざくろの執念の赤
1
狂い咲く蝶の宴の夢のうち 月下美人の一夜の生は
0
長生きはしたくないけど来年のカレンダーの柄は選ばせて
1
さみしさもさみしさを感じられるならわたしの終の住処になってよ
2
皮膚に触れた雪のきらきら見送って生きているから水を飲まなきゃ
1
急成長の予定で買ったブレザーは親指隠れたままで着ている
5
秋の水透明な景色山は雪降る季節に「踊り場湿原」
3
「ありがとう」そんな言葉はやはり無理だから君から逃げ出していく
1
しとしとと言葉の降る夜そのまま降られて
1
眠剤が 効き始める その狭間に 詠む歌こそが 僕の本音だ
5
隠し事を 作ってしまった わが妻に あわせる顔など ホントはないのです
2
寂しさと寒さと悲しみ希釈して 十二月午前二時の薄闇
2
干し柿の簾の横の木に残る実に 隣りの人の優しさ見えて
2
傷ついた影のある人が好きだって、傷つくわたしを放って言うのね。
4
ぶつかった瞬間君と魂が入れ替わらないとも限らないよね
5
ほぼみんな過労の職場やや早く上がる自由が後ろめたくて
3
まごむすめだいのともだちキティちゃんピンクにそまるあまーいおうち
2
本来の目的果たさず階段を堂々と降りる そう堂々と
5
たとえばね、わたしの愛はアイライン滲ませた数とか言っておく。
4
最近は会えてないからコンタクト、ラスイチのまま買いに行けない
4
帰宅して先にお風呂を済ませたら晩酌しても良いマイルール
2
ウロボロス 互いに尾を咬み睦みあう 夜が明けずに粛々と雨
1
かたつむり片手に神社の石段を五段とばしのメリー・ポピンズ
1
あ、そっか。猿楽町のコンビニじゃ、夢も希望も売ってないのか。
1
べつの星、べつのかたちのぼくらでも、雨の歌ならきっと一緒に
11
この街に主旋律として雨が降る なんて優しい世界のほろび
6
羽化をしたばかりの翅に纏いつく過去が乾いて凛と蝶々
2
頬杖をついた教室 夏空を澄んだ魚が回遊してく
2