高間山空さへ匂ふ佐保姫の花かづらきの峰の春風
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若き日の面影のこるジャニーヌはバイオリン弾きて二の腕太し
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十二年目の震災日メトセコイアの頂上に鴉のおりて鳴く声ひびく
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会おうねと言えば言うほど遠ざかるような気がして口をつぐんだ
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ドアの隙間から明かりが漏れ入る 他のだれかももう起きている
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無駄な期待するのが嫌いな僕だから東西線にはもう乗らないね
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6歳も年下の子と話したら なんか私より大人っぽくて
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6歳も年下の子と話すとき 意外と私は成長してた
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新宿のデパ地下にいて探すのは芸能人とかじゃなくて君
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執着と好きの違いは何だろう 分からないまま20歳になった
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間接的にならば誰もが殺している(何百回目の確認だろう?)
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目の前で自殺されつつ「まあこんなこともあるか」と言う夢を見た
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「人による。」で済ませたいがそうもいかず、読点ばかり増える説明
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ヒトの生とは不随意の発熱が数十年間続くということ
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私とは別れることができなくてここであなたを見送っている
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ストーカー規制法でも防げない 私が私につきまとうのは
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梅の花 鶯の鳴(ね)に 咲き乱れ  寂寞の余に 暇も告げず
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息を呑む 吉野の桜 並木道 歩む未来も 君と共にと 
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どす黒い怨恨ルサンチマンいだかせてなおも輝くきみのしろい歯
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薔薇いろの手のひらいっぱいありがとね、砂のとけいを逆さにしたい
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白壁に雨がつたって泣きじゃくるおらが学舎キャンパスまた会う日まで
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会社にはレモンを毎日置いてくる退社後に木っ端微塵になってね
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春雨に流れた花がビニ傘に貼りついていま返り咲きかな
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勝たねえとこの先ねえぞと分かるまで死人はずっと死人のままで
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風呂上がりアイスかじってテレビみる半分あたしの君へ、バイバイ
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ドパミンは中毒になる大豆よし瞑想もよしただ寝るもよし
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御先祖に護られている手相だね。金運あるとは言われなかった
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退院後忘れ去られたヨガ再起 錆落としする関節の歌
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雨の夜窓をそっと開けて呼ぶ おいで、退屈。一緒に寝よう
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我が歌に身近な人は出てこない はぐれ猿でも鳴き声は出す
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