若くして 死んだ友を 思い出す 君とはどんどん 年が離れていく
5
君の家から 見下ろす景色に 霧が立ったら 僕のため息だと 思ってくれ
1
干している洗濯物に囲まれる つむいだ日々の吐息感じる
3
「ひとしずく月の光にゆらめいて流した涙」ほら、ただの詩よ
5
あの人が離れていった私から 優しい想い出に包まれながら泣く
1
ぐうの音も出ないくらいに僕のこと言い負かしてくるそんな君が好き
2
最終の列車が今日は待ち遠しい君ともうすぐ喧嘩しそうで
2
タートルを着た父テールスープ食む 亀と牛とに馳せる夕食
6
おやすみと言えばおやすみと返してくれるSiriではなくて愛しいあなたが
1
「好き過ぎて苦しい」友の告白を聞いてる私もその人が好き
2
あの日だけ吹いた風に身を委ねたビニール袋 海を越えたか
1
君を好きに なるまで僕は 忘れてた 愛し方を 思い出さねば
1
君と僕の 出会いはたぶん 必然で 必然でないのは 恋をしたこと
2
え、次はどうしたらいいの? 数学を解くように君がわかればいいのに
3
ねがいごと 誰か、私を 抱きしめて メールよりも 電話よりも
6
こうやって年月が過ぎあの頃は大変だったと早く言えたら
8
寝支度もそこそこに沈む君の眼鏡をそっと引き抜く花金
3
噛み切れるもんかよそんなやわい歯で(つまんでぜんぶ折ってやりたい)
4
透明なビニール傘に隔たれて浄化できない東京の闇
8
唇に君の場合はチェリーだろこれから熟れてくつもりなんだろ
10
虫けらに 人間ひとを愛する資格なし 我は虫けら 君は人間
2
大卒で 生涯給金 二億円 死んで闇市 五十億円
2
『アヴィニョンの娘達』には見えているミルウォーキーの終焉の冬
4
ミキサーに粉々にする僕を入れ知らないけれどときどき悲鳴
5
寝転んでSNSを斜め見る庭の空から星が笑った
4
駅蕎麦屋 敢えて立ち食い 選ぶ衆 温いかけそば S 三百円
3
にわか雨みたいな殺意すぎさって見えた晴れ間にとりのこされる
7
パプリカの鮮やかな色に情緒が少し不安な現代社会
2
恋なんてそもそも湯気がもわわんとびっくり水が冷まして夫婦
1
左手なら神の領域マラドーナその魂はきっと揺さぶる
1