胃薬を飲んだ直後にまた食べるこれも一種の自虐だろうか
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終わらない 循環小数の 無限に似て 寄せては返す カノンを聞く夜
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相性は男と女は最高でだから毎夜恋が生まれる
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葦原を裸で駆けていた頃は 今よりもっと空は軽やか
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恋しいも寂しいも違う寒いは ウィンナ・コーヒーで魂燃やせ
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水彩で重ね塗りするキャンパスは遠近法で僕がぼやける
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唇を噛みなよと言ったあのひとの嘘をつかない口が真紅に
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さんざめく地球の血液 てらりうむ 潮騒の唸りに叫べ
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わるいわたし一枚一枚剥がしてく霞む瞳のかげおくり
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オブラートみたいな日々を重ねてどこまでいったら天国だろう
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悔いなんて僕の心に出る杭はきっと貴女が忘れられない
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道徳が 義務教育に 入ってる その事実にただ 吐き気を催す
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何でもいい 誰かの記憶に 残りたい そんな浅ましい 夢を見ている
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食道が 胃が満たされていく 感覚が 気持ち悪くて 仕方がない
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木の葉の今際の際を背景に笑顔を浮かべた写真の寿命
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近所のばあさん 孫が帰って 言ってたよ 来てうれしい 帰ってうれしい
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コロナの疑いで 君は当分自宅待機 家族より 君が心配 僕はサイテー
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人間関係が いやになって 断捨離しちゃった 誰も「おまえ」って 呼んでくれない
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明日もまたおなじ日が来る 忘れじの君の記憶に頬ずりをして
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紙の端きっちりきっちり合わすよに 白い皿をキュキュッと言わすの
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やってくる 電車 待つ人さらってく
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尻尾までギュッと餡子を抱きしめた甘い粒だね逃した鯛は
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眠いなあ 瞼を開けると午前九時 おきたくないなあ おはよう世界
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一生物 太って着れない 高い服
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串を刺して何もついてこないよう何時間でも焼こうよ未練
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経済と生の世界が縮小し都会に満ちる帆のアイロニー
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アイドルの 満面の笑み 癒されて 買っちゃうんだよなぁ 初回限定版
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血を乳に変えて体を与られまた血を乳に変えて与える
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電灯の光がまぶたの裏側でむにゃむにゃして動いているな
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本当は目を閉じているあいだだけ体は宇宙にいってきてる
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