血を乳に変えて体を与られまた血を乳に変えて与える
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電灯の光がまぶたの裏側でむにゃむにゃして動いているな
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本当は目を閉じているあいだだけ体は宇宙にいってきてる
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さっきまで誰かはいてたスリッパの生温かさやけに動物
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新しい ノートで最初に やってみたい 君の心を テイラー展開
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あの夏は どこへ行ったの? 秋は一寸 センチメンタル 毎に深まる
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「味噌汁を毎日飲みたい」知らんがな。自分好みに勝手に作って。
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誰もいないリビングでひとり短歌うたを詠む 窓の向こうは闇夜が広がる
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ぼくが想う君はこっちを向かないから ぼくをこっち見る人を好きになりたい
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二人なら共に初日も八日目の単独トップ土はついたね
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好意なら気付かぬ振りも出来たでしょう育てたはずのきみは被害者
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友受けしセクハラに怒る。性欲はとぐろ巻くわが胸におきても
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付箋つく歌は君好みのもので 歌集が閉じてまぶたもとじる
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ドイツ語でためらいのことを「Scheu」という。車どこ停めてたの?ああ、そこ
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舌伸ばしマスクの裏を舐めてみる。生きてくうえで必要な味?
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プロフィール画面に指輪絵文字だけ「結婚するの?」生涯未読
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林にて風のうつたへきかむとす聞こえてくるは葉擦ればかり
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ボールペンうちにとらわれたる玉がぽとりとおちてそれがピリオド
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神が僕を 置いて帰ると いうならば そうはさせない 実力で阻止
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人生を やり直すとしたら 男か?女か? どっちもイヤだ やり直したくもない
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言の葉が枯れ落ち静寂しじまが澄み渡る 白い溜息 ひたひたと、冬
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その肩を枕にすればぎしぎしと君の仕組みに抱きしめられる
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愛さずに 愛されもせず 生きてきて 人生晩秋 木枯らし寒し
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食べるのが大好きだった筈なのに 胃が食べ物を受け付けない
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「アチアチ」とグラタンをそっと置く母に育てられたんだこんな大事に
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流星を 君に差し上げるとしても このトゲトゲは、取っておきたい
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尽くしても 届かぬふみや 思いなら この心臓など つぶれてしまえ
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出土した卒業写真を燃やして初めて歌えそうだ『卒業』
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場所前はジョーカーだったね盛り上がるヒールにスペード互角だったね
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寝たふりでふるえる瞼 苦笑いして助手席の子を抱き上げる
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