寝息たて 眠る姿見せてくれる 親孝行を欠かさぬ我が子
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読むことのない本が部屋に降り積る溶けて流れて消えてしまって
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わたくしのめだまを嬲り 暗闇で心を奪う スマートフォンめ
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君に触れ 他人のような反応に 「愛はないのだ」 覚ったあの夜
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なかなかに 変えるはかたき マイナス思考 ウルフルズ聴き 気合を入れる
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あゝ母よよわいを経ても壊れても私を産んだ母でしかない
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みぎひだり向いてしゃべって去ってゆく落語の席に人情をみる
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繁る葉が返す陽射しと夏の雲風待つひとの襟元の艶
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見て聴いて嗅いで触って味わって 全てが分かる訳がないのに
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遠隔の地での闘病如何なるや視力をなくすと噂で聞きし
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夕暮れの坂道 ほとんど目を閉じて 太陽にひたすら殴られている
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さっくりと割れていったねガラスたち 「私の分も混じってますか」
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休日の唯一の会話 洗濯機「きれいにしますね」俺「まかせたぞ」
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見つめると遠退くように見える空遥か東に光溢して
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大好きととなえた数は絶対に 夜空の星より多いはずだよ
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給わりし飛び魚の身で人波の時化ゆく暮れの巷間を飛ぶ
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ガムを噛む夜遅いのでガムを噛む味すぐ消えるガムを噛む噛む
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こんなにも 未来を託す 人がいた 希望の光 見た思いなり
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盛り上げ隊 思い新たに 企画する 未来を拓く 新座談会
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母親の日記をかくれて読んだ日の淡い女性はしたたかなこと
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静と動 真逆のようで 延長線 静から生まれ 心身の動
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昼日中 身体の中に溜め込んだ 熱を吸い取る きゅうりと奴
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「冷凍の餃子は駄目よ」言う叔母よ 今食べてるの 冷凍のですが
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エアコンに 過重労働を 強制す 軋むルーバー ブラック経営
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梅雨も明け いよいよ暑さも 極まれり 洗い桶の中 泳ぐクワガタ
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東京の 夏は 暑いが 静寂で 電話越しの 蝉がうるさい
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3年間息子がお世話になりました 感謝を込めて部屋掃除終え
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後悔をするような余地無くすため一生残る傷をつけてよ
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わが猫たち ゴハンをいっぱい食べたとさ ラインにホッとす 半分だけだが
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末っ子で要領よくておしゃべりで 笑顔の貴方あなたは私の太陽
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