理科室の記憶さやかにアルコールランプが照らしてゐる夜の底
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さやうならとほりすがりのこの庭の白い躑躅の蜜を吸ふくち
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こぽこぽとあなたのゐないまひるまの部屋に充たされゆく茉莉花茶
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あはれあはれさくら散りゆくさびしさをあなたのとほい思想のやうに
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さくらばな 少女が老女となるまでの時を思つて繰る一頁
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わたくしのからだはうつは まみふかく閉ぢこめてゐるさくらを思ふ
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ぼくたちは溶け合っていたシロップに漬けた苺を分け合うだけで
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いつまでも眠りのなかにゐるやうな椅子をしばらくひだまりに置く
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コンビニのビニール傘に受けてゐる雨あたたかく春がきてゐる
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空耳は空のことばと思ふ日にまなぶたふかく閉ぢてあふむく
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ばらばらの色えんぴつをもう一度虹の順序でならべはじめる
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つまづいたのではないのだ。すこしだけ地球に呼びとめられてゐたのだ。
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流星のやうにするりと抜けてゆく猫のしつぽの描く残像
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さやうならさやうならつて輪唱のやうに散りゆくさくらはなびら
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夜明けまで、海まで、もつと深くまで とほい街では雪虫がとぶ
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紙飛行機をつくるつもりで間違へてできてしまつた流星でせう
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夜にしか見えないものが欲しくなるたとへばゆめやあなたのまぶた
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果てた後ゆるい西陽に撫でられて微睡む君がうつくしく泣く
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何回ももう何回もくしゃみする 君が私の噂をしてる?
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城壁を這ふ滿開の蔓薔薇と朝鮮薊L’artichautの搖るる中庭
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銃聲は聖天使城に谺して羅馬の露と消えし大元帥Connétable
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皇帝の出す勅令に抗ひて「プロテスタント」此處に生まるる
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革命家は唯獨り立てり皇帝は玉坐にて未だ少年なりき
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大帝の冠戴く少年に敗れし怒れるサラマンドルよ
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皇帝に忠誠尽くす傳統の低地諸國の金羊毛騎士團La_toison_d'or
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大聖堂に集ひし百花繚亂の諸侯貴族の待つ大廣間
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虹の色のおのおのとけあふことのなくおのおの立ちておのおの光る
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すきとほるさがにいと深く交はれる。彼は元彼女He was a female彼女は元彼She was a male
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虹のうち茜さす地に近くあるむらさきまとひすみれとならむ
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教壇にきらめく螺髪らほつ見つめつつ甘茶あまちゃ片手にさとり教育
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