夏空のもゆる江ノ島電鉄と赤い水面とスパイスカレー
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理不尽なことを言ってる先輩に頷く自分をどう否定する
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思い出のたからものばこに入れたのでお手紙いつか読んでください/ブルースカイに寄す
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染色体ひとつちがえばあわれみをむけられるだけの透明な性
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ひととせの春の記憶をクッキーの箱に詰めたらとわのさよなら/青春
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先頭でランジェリーしたぎ売り場を横切ってく彼の背中をそっと見送る
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なまで聴くバイオリンの初めてで 「綺麗!」の声が音符になってく
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人混みでなかなか息子に追いつけず 息子キミは後ろを振り向き、振り向き
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年末の ジャンボな夢の 使い道 考えてたら つい買い忘れ
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フロアへと充填される稠密ちゅうみつなスネアはすでに補陀落渡海ふだらくとかい
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コーパスを気圧す筆致に耐えかねて拡充される短歌空間
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確率をずらす量子とわたくしの六方最密充填の恋
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亡き友の 声も笑顔も 覚えてる 亡くしたわが子 どんな顔、声?  ごめんね。
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白雪の下で君の手 我が頬をむぎゅと包んで「幸せな顔」
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柚子の香に清められたる吾の身体 手はよく流す ねこのためにぞ>柑橘アウト
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黄昏のエヴァンジェリーンに口づけを憂鬱のとろける夜が来る
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浴槽に柚子がふたつ浮き揺れて今年の残り香嗅いでみている
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閃いてすぐメモせねば捨てられる歌を忘れたカナリヤになる
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訃報聞き元学長との想ひ出が三十年余を飛びて蘇る
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顔と顔 くっつけ眠るねこたちの ふたつのあたま 両手でなでる
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いつの日かたんぽぽとして咲く日までわた毛の行方見守り続ける
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君の乗る鳥をデッキで見送った 風が無くなるまで手を振った
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船ひとつ マリナ・デル・レイ 潮風がそろそろ君をさらいに来る頃
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飛べもせず屋根から風を見るだけのもう動けない錆びたニワトリ
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高くから僕を見下ろす凧は云う向かいの風で揚がってこいと
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君の住む街へと抜けるこの風と僕は一つになれるだろうか
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一歩二歩あなたの歩くあとからはラピスラズリの蒼の風立つ
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北風に抗いもせず飛ぶ蜘蛛の糸はどこまで落ちずに飛ぶの
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僕は翔ぶ もう黄昏も夕凪も終わる気がするおかからの風
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故郷の山おろす風 夢抱き飛び立つ僕の背中を押して
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