Utakata
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鐘の
音
(
おと
)
の消え行くさまを眺めても
出
(
い
)
で来るものは 君の無き秋
1
天翔る銀河鉄道の
音
(
おと
)
響く 白き
轍
(
わだち
)
を窓に降らせつつ
2
金鏡の空ゆくものぞ
見
(
まみ
)
えなむ 届かざれども影だにうつらば
1
秋の夜の千夜の八千夜の通ひ路の迷宮の果ての夢はまぼろし
1
星なのか星屑なのか屑なのか天に流れて示してもらふ
5
しあはせの青き鳥すむとりかごに何もあらずと云ふ人あまた
5
家のなき人と
蠟燭
(
らふそく
)
かこみつつ七面鳥の受難日に謝す
3
「この世をば我が世とぞ思ふ」そんな歌を詠んでみたいと望月見上げて
0
空白をうめるすべなど知らなくて瞼閉ざせば柔らかなやみ
2
財布、鍵、携帯、ハンケチ などといふ はづかしくなき 私の全て
0
思い切り笹薮の中 突っ込んだ 雪降る田舎道 人気無し
3
この世をばわが世にあらず望月の光は吾にも降りそそげども
1
ランドセル みんなの期待 つめこんで 私の夢は つめる場所なし
2
長針の 大人のまわり ちょこまかと 動く短針 元気な子供
0
鳴り響く 目覚まし時計 キスをして 5分延長 繰り返す僕
0
永遠はいらない冷えた君の手をあたためるだけ、あたためるだけ
1
くるるよりきゆる椿をゆくへとて葉擦れのおとにまきれぬるかな
1
蟋蟀
(
こおろぎ
)
は死にぎわさえも冷ややかでユーモレスクを弾き去りてゆく
7
きんいろのペディキュアを塗る 譲れない思ひのやうに足を抱へて
3
食べちゃうぞ また食べちゃうぞ 食べちゃうぞ 箱入りパルムはヤバイ! 悪魔だ
2
夜一夜仕事終わらぬ朝ぼらけ なんのこれしきなんて言えない
1
ねこよねこ いまはどうしているのかよ さむくはないか はらはすかぬか
3
もう出るか夢があるからそうするか休みの朝は夢がいっぱい
0
あくせくと荷物を片付けている親 その隣であくびをしてる犬
1
黒豆のあかむらさきの煮汁にてこころ染めたき夕しぐれかな
5
歌なのか歌屑なのか屑なのか風にわたしてをしへてもらふ
3
銃弾の白き瞬時をスローモー//ションにて描き
疾
(
と
)
う歩く街
4
ひとりでに音立ち上がることば有り「関西電気保安協会」
3
忘失のむこうがわから呼ばわりて「私は……
et in Arcadia ego
(
いますアルカディアにも
)
」
5
凡詠も万重なれば非凡にてその鵬程は祈りにも似る
2
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