鐘のおとの消え行くさまを眺めてもで来るものは 君の無き秋
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天翔る銀河鉄道のおと響く 白きわだちを窓に降らせつつ
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金鏡の空ゆくものぞまみえなむ  届かざれども影だにうつらば
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秋の夜の千夜の八千夜の通ひ路の迷宮の果ての夢はまぼろし
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星なのか星屑なのか屑なのか天に流れて示してもらふ
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しあはせの青き鳥すむとりかごに何もあらずと云ふ人あまた
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家のなき人と蠟燭らふそくかこみつつ七面鳥の受難日に謝す
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「この世をば我が世とぞ思ふ」そんな歌を詠んでみたいと望月見上げて
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空白をうめるすべなど知らなくて瞼閉ざせば柔らかなやみ
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財布、鍵、携帯、ハンケチ などといふ  はづかしくなき  私の全て
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思い切り笹薮の中 突っ込んだ 雪降る田舎道 人気無し
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この世をばわが世にあらず望月の光は吾にも降りそそげども
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ランドセル みんなの期待 つめこんで 私の夢は つめる場所なし
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長針の 大人のまわり ちょこまかと 動く短針 元気な子供
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鳴り響く 目覚まし時計 キスをして 5分延長 繰り返す僕
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永遠はいらない冷えた君の手をあたためるだけ、あたためるだけ
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くるるよりきゆる椿をゆくへとて葉擦れのおとにまきれぬるかな
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蟋蟀こおろぎは死にぎわさえも冷ややかでユーモレスクを弾き去りてゆく
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きんいろのペディキュアを塗る 譲れない思ひのやうに足を抱へて
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食べちゃうぞ また食べちゃうぞ 食べちゃうぞ 箱入りパルムはヤバイ! 悪魔だ
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夜一夜仕事終わらぬ朝ぼらけ なんのこれしきなんて言えない
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ねこよねこ いまはどうしているのかよ さむくはないか はらはすかぬか
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もう出るか夢があるからそうするか休みの朝は夢がいっぱい
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あくせくと荷物を片付けている親 その隣であくびをしてる犬
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黒豆のあかむらさきの煮汁にてこころ染めたき夕しぐれかな
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歌なのか歌屑なのか屑なのか風にわたしてをしへてもらふ
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銃弾の白き瞬時をスローモー//ションにて描きう歩く街
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ひとりでに音立ち上がることば有り「関西電気保安協会」
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忘失のむこうがわから呼ばわりて「私は……et in Arcadia egoいますアルカディアにも
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凡詠も万重なれば非凡にてその鵬程は祈りにも似る
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