コンビニのイートスペース 昼休み 薄曇うすぐもり 差し出される陽射ひざ
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君がいた夏の緋色の幻をガラスの鉢に浮かべてひとり
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「火」と言へば〈火〉のれし日の山吹にああまたしても時だ移ろふ
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眼の奥に火を灼く火などなきものを見らるるままに火は灼かれたり
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遭難の心持ちする部屋の中 寒いし眠いしお腹も減るし
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友達としてもあなたといられない鼾のような告白でした
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冬のコンビニと通販番組がよく言う「おでんいかがでしょう」
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美味しいな 「北海道釧路のいわし醬油味」 缶詰サイコー
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客人まろうどは メロンソーダのフロートの 数を数えて眠ろうとする
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星空が明るさと暗さ両方を静かに謳う停電の夜
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パリパリと道端の氷踏んでたら学校遅刻だ急げや急げ
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毎朝の電車に馴染みの顔がありお互いの名を知らないでいる
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雪山においてきぼりの幸せがわがままばかりぶつけてしまう
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空気とか読めたらたぶんウィルスなど余計なものを僕はみている
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鳥になる夢を見ていたプラタナス横に枝葉を広げて伸びる
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不貞腐れふてくされむくれた顔よ あなたにはリスみたいに 可愛くうつれ
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首の皺をたっぷと揺らして一歩づつ亀は砂浜を踏みしめ歩く
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太陽の光り届かぬ冬の朝のまだら模様の電信柱
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首落ちた花の名前は新聞の小さい欄に載るはずがない
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快晴の青 背景に 白く縁取られた木々 まるで銀細工
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不登校勉強時間ゼロの俺メシが美味いよ母ちゃんごめん
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大根は不細工なとこが美味しいの必死で探す君への言葉
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乙女らよ集え倫理を破壊せよ(ここでミラーボールが回転する)
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故郷とも 知らぬ場所とも 呼ぶことのできぬ街目指す 箱根湯本行
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トラックの後ろに書いてあった文字人生なんて自由自在
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パサパサの傷つけられた心には 感情のない加湿器がいい
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なじることなどできやせぬ 吾もまた 渇いた心で毒吐く一人
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運命は煮付けにすると食べれるが業が多くて食えたもんじゃない
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幸せは 相対的で あるがゆえ 悠久ゆうきゅうの世を 苦しむ我ら
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茜さす日のる冬の四時半はココナッツミルクの香りなり
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