拡大し見つめる君の手のひらを ツメの甘さはどこにあるかな
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少しくらい寒いくらいが良いんです誰にともなく呟く風呂場
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予告なく始発列車で来た春に寝ぼけまなこで「はい」と答える
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顔本で一番歳を感じるのは知人の姓が変わってたとき
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きめている吾の最期は最愛の キミの笑顔を想いながら逝く
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きみという子がいたことを歌に詠む百年のちも色褪せぬよう
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きみとの想い出すくい上げる度きみののこした色が濃くなる
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花雨に木々の芽吹ぞ進みおり春の息吹の満ち満ち足りし
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少額の 年金を貯め 小金にし 帰る息子に 握らせる母
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やはらかにうるほひ満たす春の雨地に降りそゝぎて恵みとなりなむ
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カービィのあのBGMが流れ出す無敵の人になりつつある俺
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灰になる前に余熱が残ってる焚き火を少し眺めていたい
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あと何年生きられるかな熱湯を急須に注ぎ茶葉をながめる
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ふるさとがどこにあるのか分からないような感じのふるさとがある
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また春がやって来たんだ「きっと」って卒業生が泣きながら言う
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気のせいか嫌な人間になってゆくような自分に降る春の雨
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幸せか不幸だったか分からないやたら眩しい朝のテーブル
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きみの寄越すいいねに罪は無いけれどほんのり不快というだけなのだ
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白昼夢見ているみたい、と言ったあと あなたはどこかに消えてしまった
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本と本 のすき間に眠りし 一匹の か弱き者に 捧ぐレクイエム
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四捨五入したら四十なる女主人が営む 居酒屋あじさい
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こないでよお願いだからじっとして泣かないでもうそこのわたしよ
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そこにいるはずのないもの見ているのじっとみてくる過去のわたしが
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空の色泣いているのと呟いた返事はないが雨粒一つ
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失った夢にこだわりそこにいる新たな夢を見逃さないで
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ほっとけば見てないからと走り出し気づかぬうちに沸騰してる
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いつの間に こんな所に 分岐点 二度と戻らぬ 何気ない日々
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恋焦がれ 恨んで泣いた 日々想い ただ凪である 君に幸あれ
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福寿草枯れ葉かき分けよっこいしょまだ雪残るお庭であくび
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SOS出してた「お疲れ」スタンプで 何故か伝わる 君からのTEL
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