芋掘りに飽きた私は砂の海を泳いでいた 母が語る夏
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返信がまだかまだかと待ってみて突然「てれんっ」びっくり既読
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熱い道百日紅サルスベリのもしゃとしたピンクが風に転がっていく
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恋ってねお菓子作りと一緒なのちょっぴりお塩も必要なのよ
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「酒臭い顔を寄せるな!君はもう大人だろう?」と叱るくまさん
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この頃は君となかなか話せない 顔を見られるそれだけましか?
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直角を四つ集めて原点に帰る者を嘲けり果てへ果てへ行く点P
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塩飴や梅ソーダでひとひとりの平成30年は洗える
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これからは離れ離れの最後の夜寝ないことで一日にピリオド打たず
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冷凍庫 あなたの痕跡 チンをして 全ては暗い胃袋の中
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校庭のハンカチの木は白くゆれ体操服の子らを真似おり
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花びらの奥へ奥へと失神し宇宙の色を観るハナムグリ
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それでも生きててほしいと願うのはぼくのエゴかな エゴでもいいや
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午前二時 純愛映画に涙する 恋に恋するわたしが好きだ
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いじめとは立派な「全体主義」である アウシュビッツはすぐそばにある
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あまりにも悲惨な学齢期をもしも「普通」とすると普通になるぞ
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「思春期の鬱である」だと? これほどの醜い嘘は類も見にくい
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微睡まどろんで虫の羽音で眼を覚ます 尺取り虫よ 寝てたの? 僕は
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幸せは会えた一瞬 そのあとは醜い想い延々続く
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名前しか知らないきみと共通点 それが単なる視力であっても
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森のなか祈りを拾ひ抱擁すハンカチにつつみ誰に贈らむ
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いちにちに四回はくる九時のため時計の針を倍速にする
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うわごととたへの滲んだ境界にタングステンの切っ先を置く
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真夜中に目覚め少しく時間経ちふと窓見ればしらじらと朝
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水底の悲しみうたふbluesに空のblueもとけこみそむる
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原形をうしなふための冷たさと美しさ持つ氷鳴り来る
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うへを向く空したを向く海うごく起点は真んなか鬱なる鴎
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今がそう全てぐらいに思ってさ生きてみたいよドライブしよう
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「才能をご用意することが出来ませんでした」とのメールが届く
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いつもよりはっきりみえる恒星ほしじぶんで光ることができない惑星ほし
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