完成しないディアゴスティーニ 幼少期 ハル 遠い思い出
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寒き日も 宇多田ヒカルのジャケットが かたしき夜も見ていてくれる
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男しかいない校舎で過ごしたる 街でじゃれつく ペア見て苦し
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革靴の汚れ厭うて霜柱避ける大人になってしまった
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ねぇ前もこんな感じじゃなかったっけ電車の中で出会えぬふたり
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その虫も会話くらいしているだろう お前に聞かせる気はないだけで
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古写真 上臈のごとき花魁のその眼の奥のかなしみ思う
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しらしらと降りくる雪を雪などと呼ぶ動物がその下にいる
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寒中の峠道行くドライバー思いがけずに皆セーフティ
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忘れ物 ついさっきまで あったのに 忘れた時の 記憶も忘れ
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妄信は何より楽し 寄りかかる誰かが欲しい神でなくとも
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蟻の巣を見るように見ている者が天上にいたとしても、ほっとけ
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私の部屋。私の匂い。私の孤独。ペットボトルがからころと鳴る。
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揚げたてを「狐色」と評されて黙り込んでる骨なしチキン
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スーパーの牛乳十円高くなり、なんだよお前も裏切るのかよ
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まばたきで140字を咀嚼して 眠たくないって光度を上げた
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静寂に独りを想う。知らぬまに換気扇が止まっている。
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怒ったり泣いたり日和 叫んだら叫んだ分だけ雷雨の夜は
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占いに向かない花が好きだった 恋でも愛でも散りたくないよ
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空咳が止まらないので何もかも煩わしいと息を止めた
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きらきらの中学生に囲まれた君が遠くて裸眼じゃ見えない
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思い出を思い出として撫でている二十余年のページをめくり
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大人から初老になれば後がない一気に出てもその先もない
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信じても裏切られたら怖くなるバイオレンスに心裂かれた
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探る如く「私を愛人にどうですか?」聞いても無駄だどちらも独身
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私がね 自分の名前忘れたら名前を呼んでね 「あのさあ」じゃなくて
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天翔ぬペガサス(ランニングシューズ)の中 「ガンバって」ナイキマークがウインクしてる
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誰がために作る飯がおいしいと一人飯ならレトルトさがす
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結束を強めてくれるものそれは愛だけでなく共通の敵
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雌猫の盛りのついた声が鳴く風吹きすさぶひとり寝の夜
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