五月雨に流れる記憶サルベージ クリーニングに出してるコート
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みんな死ぬ、という事実の眩しさが太陽光を超えてしまった
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立ち尽くす 退路も先も 無い僕の 恋慕を悼むは 雨夜の底だけ
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二乗してしまえば同じなのだろう正反対に見えるぼくらは
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今しがた 知ったラインの通知見て 口元がふと緩んでるんだ
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今どきの淡い恋など目じゃないよ 君の隣は特等席だ
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崖ふちで ふるえ佇み怯えてることはなきよう地球は丸だ
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教室の破れかけてるカーテンはいつか誰かの青春だった
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干き潮の浜辺にひとつ転がった頭蓋のうらで跳ねまわる小魚いお
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靴ひもの片方だけが汚れてて変わらぬ色の涙をさがす
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ゆめでしたそう言いたくて言いたくて朝日が昇り亡くなりました
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まだ声がある時まではぼくでいい 氷柱抱く静けさまでは
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感覚と言語と 他に何がこの私を映し出す霧なのか
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白い羽で追い風に舞い地に落ちる つばさ持たない鳥の名は花
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冷たいものを綺麗だと思うのは心が水でできているから
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いほつ海 まことともしも ありあけに いささおされぬ あはれあしたは
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あそこにも、あんなとこにも、あの子にも 生き物みなに神は憑いてる
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カップふち指で摘んで渡されて心泡立つコンビニコーヒー
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紫陽花は あの子とこの子 さわさわと おしゃべり尽きぬ 雨降る庭で
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雲間から斑模様に日の射して新緑の山プロジェクションマッピング
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恋というページの栞をまた開くまた傷つくと知っているのに
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Amazonで頼んだエプロン今日届きただそれだけの静かな休日
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転職の決断の理由なんですか お金金金マネー金金
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うぐいすと 張り合うつもりで 口笛は 掠れ音飛び ひとり山道
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あじさいと雨がダンスをしていますそれを眺めるぼくとみつばち
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お願いを 撤回するか 変更し 工夫しなけりゃ タイムオーバー
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間違った 願いばかりが 多すぎて 叶えられれば 不幸になるし
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求めても 得られぬものが あるものだ 諦め切れず 身をやつらせて
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冒険を 一つもしない 人生は 港を出ない 小舟のようだ
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真実の愛も魔法も無いのならせめて悲劇にくらいならせて
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