蛇口から ポタポタ落ちる 水玉は 夢の半ばで 排水口へ
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出張を 見送る妻は 嬉しそう 手の振り方が 大きく見える
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あこがれの 彼をやぶった 100メートル 表彰台の  このさびしさは何故
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おにぎりも食べた気がしない秋半ば冬に備えて肥えるの尻
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手鏡にうつれる昏き霜月に老猫のこゑ弱く響ける
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隠謀も不条理もすべて悪夢たれ鏡のなかの向かふ側にて
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大洋のような心で受けとめるつもりなどない ただあるがまま
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パクツイはかなしからずやリプ欄の罵詈雑言にも染まずただよふ
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皮肉屋の掃除夫ひとり清水の奈落の底でシミを数える
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純白のセーターすごく似合うのは心の色と真逆だからか
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生と死も好きも嫌いも運次第花びらかぞえ占うかぎり
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ここだけの秘密すこんと消えて行く秋の限定チョコ舌の上
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「ぴーんぽやーん」サイケデリック・インターホン なんてこたない 電池切れです
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まだいたい 夏の名残を あやすよう 優しくつつむ 秋の長雨
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恵み雨 喧嘩をしてた 僕たちは ひとつの傘で 仲直りした
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ちょっとした ほんの少しの きっかけで 好きになったり イヤになったり  
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その涙 俺の心の ハンカチで ぬぐってあげる もう大丈夫
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束縛が あなたの恋と いうならば ごめん私は あわないみたい  
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無理をして 言葉にするな 見りゃわかる 流れる涙 おまえのキモチ
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永遠のふりするような真夜中の寝息はゆたかに孤独を抱く
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はばからず落ち葉を拾ふひとの手に少年の日の星光りそむ
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風の声をうつし重ぬる雲路には絡まる思ひこなたかなたへ
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太陽と仲よくならむと思ひ立ちオリーブ色の手帖もとむる
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秋の夜はいけない余計なことまでも思い出しては泣きたくなるから
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野良猫の黒い体に金二つ爛々とさせ僕を見ている
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雪だるま 芭蕉の髪をなびかせて サーフボードでアラスカ目指す
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さみしさは案外きれいな色をしてサラダを飾るプチトマト、ころ
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『思弁的実在論と現代について』など読むイケメンな俺
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おひとりさま一つまでならねこの卵売ります一つ¥300~300円から
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職場では思考高速フル回転させるためにも定時で帰ろ
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