しなやかな指で突き落とされた先に広がっているあかるい地獄
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くもり空頭に広がる黒い海やっぱり自由が広がってると思う
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母が私を産んだ歳に私は念願の正社員採用
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神を信じろ!と仰るこのメール、神様に転送しておきます
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一昨日の大学芋のベタつきを思い出してはほろ苦い夜
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快感が背中駆けたらむつごとはきみがただいまと整うのを待つ
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インターバル一分間で整えてゴングで向かうお前を倒しに
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列車降り恋のはじまり夜明けまで  知り尽くせたら埋め尽くせたら (Before Sunrise)
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五七五七七に詰め込んでゆく愛と涙と夢と、足りない
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ぼくんちの蛇口は炭酸水が出る ただし気は抜けてるわけだけど
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祖母くれし羊毛一本穴ふさぐ若き父着し 僕が着たいし
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空だって落ち込む夜もあるだろう 吐き出してくれ、粉雪にして
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春風にゆうらり揺れる桃の枝子守りの如咲く花夢見
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ジャンパーに春の夜風を孕ませてペダルを回すムササビのきみ
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この冬も寒さに慣れてしまったよ  痛さ寂しさ怖さもついでに
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わがままという名前なら許される 好きとか海を見てみたいとか
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君が大人であることを知る言葉 知ってしまった 見たくなかった
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iPhoneに魚眼レンズを取り付けて空の広さを教えてあげたい
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かまぼこも元を辿れば魚だしダイヤもタイヤも実質同じ
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少し緩い祖父の形見の礼服を通り抜けていく十月の風
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絶対にただしいものしか愛さない、みたいな顔で生きる悪人
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階段を 登ったけれど シンデレラにはなれなくて 首を吊られる
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傷付けば 傷付いただけ 五線譜が 君だけの詩が 生まれる二月
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かなしみを 一切溶かして しまいたい 君のつむじを見て 思う夜
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可能なら 定時でおうちに 帰りたい それがそんなに ぜいたくですか
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冬至とうじ粥私の指は見えぬともそっと食む犬そのやわき舌
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泣けるなら 泣いてください そうしたら 君のお声を 飲ませてください
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虹よりもがま口バッグの口金が欲しいよきみをパチリと留めるよ
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手紙、花、思い出、笑顔、ちょこれいと あなたがくれたちいさなひかり
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冬の雨ブレザーに隠した歳時記を忘れて戻り一息つける
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