感染を恐るる事なく歌詠めり スマホありがと布団の中より
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初めてのコロナの検査は簡易式 赤のラインの一本嬉し 
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古き雛飾りてひなとめぐる母 なわとぶ少女の輪のなかの春
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傘持たず 打たれるままに千の粒 素知らぬ顔で嘘つきな空  
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雛かざる母の手とまる 色冷めし顔に春の陽そそぐ
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佐保姫のころも春なる難波津に咲くや昔の梅が香ぞする
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鴨長明が無常を説きし方丈記。令和の今こそ読むべかりけれ
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「広島おんなエレジー」で飲む流川行きまくったら古里になり
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コンビニヘ用もないのに行きたがりオジサンビールまた買っている
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カープ女子カープ男子の彼が好き球場で飲むビール旨くて
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東京に左遷単身赴任でもひとりぼっちのあゝ恵方巻
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お腹おちつき お口ゆすごうと水飲むねこ ヒトっぽいよね なんだかいろいろ
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真夜中にねこが4回ケロリンて 片付けいそがし がっつき過ぎだよ
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天然のたい焼好きで糖尿を忘れて妻に内緒二つも
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二重焼屋の店長が好き見てるだけなのに初恋毎日一個
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テレビ出たんだよ「あなたのメロディー」にレコードにならない作詞家だ
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「若いのに演歌好きとはさあ飲めや」とオジサンから言われ割り勘
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フィルムカメラをまだ愛してるカメラ屋に行きたがるのは店員あの娘
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スマホで撮った写真プリントしませんか手紙に添えてもうラブレター
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親しみを愛するほうが健やかだ 距離を埋めずに愛するよりも
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二回目のコロナの孫のバイバイは 降り幅いつもの1/3
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さよならの向こうに何があるなんて 知らないけれど知りたくもない
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その声に嘘がないほど嘘くさい、愛のことばの孕む矛盾
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何もない日曜動けず ぬかるんだ眠気 気怠さ のべつ幕なく
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天国へ 名を呼ぶように火をつけて アークロイヤル好きだったよな
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美しい過去も明日もない僕の道を照らした言葉があった
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何食べる? なんでもいいが 本当に なんでもいいと 信じてほしい
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親戚も親子の縁も切り捨てて誰も知らない街で死にたい
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懲り懲りのもうたくさんの人生でリタイヤするってどうすれば良い?
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辛くても叫び声すら届かない誰か私を救ってください
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