感情を見せろと言われた時用にあなたが備え持つものは何?
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議事堂は 白い墓地だと誰か云う 老人たちが 吸い込まれゆく
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あてのない 目的地へと 運ばれる 人生メトロ 降りずに良いのか
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ほのめきて 川邊かはへせし草根くさのねの くたしてはほたるすらし
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半世紀ぶりに訪い来る夫の友両手いっぱい土産携え
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銀の町 四百人の 寒村で 支えられてか 夢が広がる
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ありのまま 大きな悩み 願いをも 全て祈らん 無限の希望
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夕立のすぎの下風玉散りて涼しくもあるか蝉の羽衣
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なく蝉の涙の露に秋かけてまだき色づく森の下草
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沢水の下に流るる葦群に思ひ乱れて飛ぶ蛍かな
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最高気温三十一度にホッとする そんな時代に生きてるなんて
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目的地に着いた と思って自殺ボタンを押した それだけなのに
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八年間われに潜みし蕁麻疹このごろ出でず死に絶えしかも
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バス停でしみじみ時刻表見たり会社を辞めて用は無けれど
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雷の嫌ひな犬や今頃は部屋の隅にてうずくまり居む
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伊豆でつゆ草模様の皿を買う 家に帰って干物をのせて晩酌
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公園の女神像は甕から水を注ぎ 噴水からは虹が生まれる
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眼の前を横切った蚊がカーテンに止まっている殺すか放っておくか
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この辺でそろそろ楽しこと欲しいとは言うもののあてはないのだ
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べつべつに続けて二匹しっぽ踏む足がしっぽを探してるらし
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心身のだらりんを取る薬らし忘れて飲めず暮れゆく途方
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しとやかな墓石に導かれし我 天仰げば太陽肛門
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12122123121ひゃくにじゅういちおくにせんにひゃくじゅうにまんさんぜんひゃくにじゅういち
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ぼくという連続性をヒュプノスが断ち切るところ見れぬまま朝
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限りなく透明になり体温と交換させるポカリスエット
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茶の湯炭に着想を得て着火した薄墨チャコールの浮く白磁チャイナのうつわ
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娘には側に味方が居ないから今に崩れる気がして怖い
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目に染みる 青空を目に 焼きつけて 夏のはじまり 恋の予感よ
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眩しすぎる 澄み渡る青に 目を奪われ 時が止まって 呼吸ができない
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いま僕が死んでも君には届かない だから死ねないだから死なない
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