1と0の世界に支配されながら2となる真青まさをへ鴎とび立つ
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寝たきりの 父の足の爪を切る 猛禽のような鋭さ残る
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この人にも家族があるんだろうなあと想像させる顔の店員
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その先へ跳ぶためにこそ境界に横一文字白線を引く
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服を買う きみと会うとき着る服を だけどまだその約束は無い
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類は友 あのうそつきめ さいごまで 何が本音か分かりやしない
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違うよと否定の言葉出てこない そうならいいと願ってしまった
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くりかえしくりかえし見る窓のない長い廊下をさまよう夢を
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逢えたとき楽しそうだなこの人は 嬉しいのかな そうだと良いな
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知られたら崩れてしまう幸せを剥がして良いの?嫌なら行って
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無理をして貴方を好きでいるよりは私を好きな私でいたい
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つかの間の逢瀬に君が言う「幸」にルビを振るなら「うたかた」でしょう
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陽は射して土くれの舞う甲子園 いざ若人の闘いの時
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減らないよ 言ってはみても緩まない 仕方ないから背に腕回す
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「ほらおいで」差し出した手は取られずに さみしさ誤魔化し「いいから早く」
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いつにない 真剣な瞳 見せるから 蓋したはずの 気持ち溢れる
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箱といふ折りめ正しき空間へ入りぬるものもの落花狼藉らうぜき
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ひとつづつ居どころを得て納まれる石や長閑のどかのかたち
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箱のなかひつそり過ぐる時間より終のすみかを教へてもらふ
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睡眠とテレビゲームでできている 私の夏は衰弱していく
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ミスターインクレディブル見て損したつまらなくてイライラした
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真上から太陽が照りつけて遠くで鳥が鳴いて気絶しそう
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にじ色の蒸気の波を廃園に 褪せたvinylビニルはしめやかに鳴く
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ミスターインクレディブルはつまらないそう思った一時間半
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例えばさ女もいらんとその代わり一生楽しく過ごさせてとか
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思い立ちトイレ掃除と風呂掃除 全て綺麗になった気がした
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踏み台に乗せた意識に吹き寄せる 西尾維新を読み過ぎた夏
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恐らくは並んで囁き合う炉のなかでいまわたしたち焼かれているよ
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三千と六百秒目あなたから飛び去る人をまだ見ているの?
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ことばの飛ばぬ夜よ、おまえの恩寵はわたしの命を喰って砂時計
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