制服の擦れた袖口いじっては誰かを待っていただけの秋
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うろこぐも受けきれない太陽 ひ のひかりは気を付けないとくしゃみの原因もと
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ここはあなたの夢の果て 非常ベルまでもこんなに優しい音で
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感情の七号線の渋滞をばら撒き散らした赤をください
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もう君に手紙を送ることもない 海のシールが空を彷徨う
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歌によせ鉢花ひとつ幸福の覚めては蜜の残り香よすが
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土曜日の午後のカーナビどこまでも赤い点滅消えないシグナル
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全て一秒を永遠とわと偽るため飛ぶ鳥は墜ちよ叫びは潰えよ
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十月の冷凍庫にもし入れるならスムーズにトーク出来た日の僕
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太陽と顔を合わせず生きているあいつはどんな顔をしてたっけ
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液晶の画面が暗くなるにつれ見えてくるだろ自分の顔が
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靴を脱ぎズボンをほうり上着もポイ 最後に靴下 ベッドへの道
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目を閉じて耳を塞いでも無駄です逃げ場はないです死んでください
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オレンジの月待ち人の来ぬままに もう三日もオレンジのまま
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エアコンをつけるかどうかに迷うほか何もできずに夜を迎える
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早くしろ私を急かす仕事たちスマホも急かすログインボーナス
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ただ辛くたためぬ仕事山積みで靴下たたむ気力もないです
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応酬の向かいの列車に惹き込まれ身体はレールの循環の上
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所詮肉 所詮水分とタンパク質 砂山の上で起きてる茶番
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ずっと友達でいたいと思ってた もうすぐ枯れる花に遣る水
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僕たちはひとつの点で星座にはならないことを理科で習った
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嬉しさや悲しみで成るコンツェルト上手く指揮棒握れぬ僕は
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幾年も天の淡いを行き交いてそれでも今年もあなたに会いたい
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近況も想いも乗らぬこの筆は尚動かざる前略草々
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ねじ回し電源を 捻じり捻って何度も押して 壊れかけ緩くなり どこに行ったとどう直そうか 一人悩んだ
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玄関に「お邪魔します」も言わないでバッタが僕を複眼で見る
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一房の紫葡萄熟れてゆく美術室横描かれただけ
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閉じた眼の中の闇より夜の闇は少し小さく少し明るい
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不意に指切る紙のような鋭さはどうしていつも血が出て気付く
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ニンジンの角切りやさし日々の泡言い訳ひとさじ隠したカレー
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