ピヨちゃんがいない鳥籠にも慣れた 寒空に光る月を見てるよ
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形容詞、動詞、副詞も入れない 主格が二つあるだけの部屋
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野良猫だって僕ほど孤独じゃないだろう温みを抱えまた雨に濡れ
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非常口 いつもいる彼 その先に何があるのか、逃げてみようか。
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これでって指で囲んだシブースト。りんごのケーキとも呼べなくて
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部屋の隅の 埃のような 言葉など 全然要らない 僕を見てくれ
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君に馳せる 心を僕は 隠せない それでも君は 気付かないだろ?
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あなたが好きと気づいた3日前 あなたと同じ筆箱で あなたを思い出す
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わたくしのパッキンの寿命やってきて人肌恋しさなどが零れる
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枯野とは花野の墓場そのうえを駆けるあなたはきっと悪童
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満月に あなたを思ふ すっぽんか あなたはユリか 恋叶うことなかれ
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恋心 秋の終わりにふと気づく ワタシは今日も アナタ見つめる
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自由という足枷を引きずりながら終点のない遠足に行く
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僕はもう 君がいなくとも歌えるよ 少しもさみしくなんかないさ
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慎重に和菓子を選ぶかのように 君に贈った三十一文字
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良い映画を観た後に何をしたらいいかわからない
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夜明けまで堕ちる速さで駆けてゆく残響ばかりはせめて優しく
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明日には貴女へ逢える金曜の待ち焦がれるよな立待月の夜
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生まれ日やまた一つ歳を累計す私の若さの減価償却
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平行やねじれではなく垂直に君を想って数学の授業
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紅々あかあかと桜紅葉に秋が夢見るかの如く春想ふかな
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なんのためにわたしといるの なんのために犬を飼ったの おい こたえろよ
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言われたとおりに笑って 言われなくなったら 散るしかない春がくる
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伝へばや 溢る涙 南風はえ乗せて 君が心に いか届かなむ
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痛いと言いたい態度問いたい遺体いた いただいた糸タイトホワイト
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愛着という名の麻酔をかけている 心の傷は癒えぬと聞いて
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我々の地上食には手がかかり未だサバ缶をどれも越せない
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家族葬 結縁けつえんなくて道端で往く霊柩車をずうと見ていた
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「何もかも身体があるから悪い」溝が現れ跨ぐしかない
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廊下からレンジ前へと移動するヘソ天前線冬を告げる
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