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久方
(
ひさかた
)
に 訪ねし叔母は
九十歳
(
ここのそじ
)
施設の暮らし 幸せ と
笑
(
え
)
む
24
ほの暗い体育館で次々と杞憂を平均台に並べる
11
「徐脈だ」と胸に耳当て笑う君 これでも充分どきどきしている
10
詠む人の想ひ伝わる 美しい歌を 「いいね」の拍手で
讃
(
たた
)
ふ
22
コンクラーべ 根競べと音が似て 様子も似てると毎回思う(4回目見ます)
11
植物の勢い勝る木の芽時 気圧され狂う人の脆さよ
12
キッチンの一輪挿しにさくら草 小さきルビーの光を君に
26
花散りて 若葉芽吹きし梅の木に たわわに実る夢ふくらみぬ
16
母さんの食事介助をする度に寄ってくる猫何当てにして
17
悪よりも 正義の方が 怖いよね 不意に息子が 俺に問う朝
11
この部屋じゃないがピッピと鳴るエラー鳥だと気付く早朝の音
19
誰にでもおそるおそると触れ合って「へっぴり腰」の教科書にのる
4
ぬいぐるみたちと毛布をわけあってページをめくるねむれない
夜
(
あさ
)
12
ウトウトと いつのまにやら うたた寝を 二度寝三度寝 こんな時間に
7
風さんはうっかり運ぶあいつらのロクでもなくもない人生を
4
夕立がシャツを濡らして肉体はぼくと世界を分けるきっぱり
4
ごめんなさい、言葉にするもおぞましくでもまだ家にある君の髪
4
指先を少し濡らしてあなたへの切手を貼っています夜です
3
季節外れの雪の歓びを知る人の思いの熱さで打ち上がる花火
4
ごみ袋使えなくなる情報を知らぬ娘に渡す広報
16
ゴミ袋変更なれど店に出ぬ買い置き袋は命拾いする
12
どこまでも満たされないで走る背を 追いかけ捧ぐこの一雫
5
予告なく来たらシャワーと夕ご飯だってあなたと母娘ですもの
17
軽く薄く白くなりゆく父母の あらゆる重みを我が奪っている 質量保存の法則で
5
血は争えないね 痛し痒しのその言葉 でも私は貴方を信じられるから
2
草花は私を裏切らない 宣う母の愛おしげな横顔 我と視線は交わらじ
5
一言の言葉にならない過剰さと非効率さがなんだと言うのさ
5
レジ待ちの並びの表示が床にしかないコンビニはちょっと嫌いだ
5
さあ飲めよ食えよ内から破壊せよ あの星までにこの身は重い
5
今日明日と妻は留守なれど珈琲は二人分淹れ二人分飲む
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